年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

主催:J-WAVE/筑波大学という異色の組み合わせのイベント、イノベーションワールドフェスタ2018に行ってきた。
協賛も豪華。
後援にはつくば市と文部科学省など、もはや民だけでなく官も巻き込んだ一大イベントになった。


今年はJ-WAVE30周年ということで六本木ヒルズでの開催になったが、場所は狭いし人は多いしで良くなかった。
雨も降っており、日曜日は一部中止で払い戻しになったようだ。

高城剛氏の講演を1セッションだけ聴いてきたので概要と感想。


「30年後の未来へ」というタイトルで基調講演をした高城剛氏。
世界を飛び回っているので生でトークを聞けるのは本当に貴重な機会。


過去30年でデジタル化×グローバル化が世界を一つに結びつけてきた。
今後30年の雲行きはどうも怪しい。

未来学者や未来都市を回って実際に現場を見た感想がとにかく濃い。
写真と情報量の多さ。

中国は全力で未来都市を作っている。
凄まじい速度で無人化している。
電気街はシャッター街。
これが本当に私達の目指す未来なのか、ということは考え直さないといけない。

辛い肉体労働や誰もやりたがらない危険な作業はどんどん無人化省人化すればよいが、人の社会的な居場所がなくなる事態は新たな社会不安になるということだった。


スマホでは新たなイノベーションは起きない。
次は「人体」にイノベーションが起きる。
顔認証、生体にチップを埋め込むと手ぶらになる。
ポストスマートフォン社会は再びスマホを持たない社会に。


中国の杭州などでは大企業がまちづくりをしている。
それまで国の専売特許だったが、グローバル大企業はとうとう街すら作れる時代になった。
そこのインフラはすべて企業が提供できる。


「屋台で起こっていることが本当のイノベーションである」
→その国のイノベーションを見たければ屋台を見る。

大きな企業はどこでもイノベーションについて語るが、実際に起きているのは街角。
中国では屋台すらキャッシュレス。


シアトルではアマゾンがまちづくりを勧めている。
アマゾン・ゴーでは決済がキャッシュレスに。
3年以内に3000店舗に増やす。
これは超絶な無人化。

技術を使ってすべて無人化することがいいのか、考えるべきだと繰り返し伝える高城剛氏。
イノベーション=人を幸せにすることとは限らない。

一人ひとり、一社一社が行っていることは正しいが全体的に見るとこれは正しいかどうかわからない。
(合成の誤謬)

機械、テクノロジーが人の仕事を奪っている。
人の仕事を作るためにメキシコに壁を作成する大統領、中国にこれ以上技術を渡したくないアメリカの大企業が世界的な「分断」を作っている。
イノベーションが分断を創り出している皮肉な構図を解説してくれた。




実際に会ってきた、見てきたことを噛み砕かれた日本語で語っていく高城剛氏。
とても本質的で、同時に恐ろしさを感じる内容だった。

イノベーションについて語っているビジネス書が全盛の中、高城剛氏はイノベーションが世界を分断していることを説き、それに対して最先端の人々がどう対応しているのかまで語ってくれた。

フィンランドではベーシックインカム制度が失敗している。
そこでやはり教育だということで、世界最先端のクリエイティブを生徒に教えているなど。



残念ながら講演依頼サイトには名前の掲載がなかった。
世界を飛び回っている彼を捕まえて講演を依頼するのは難しいかもしれないが、イノベーションや世界経済のあり方を求めている方にはぜひ聴いていただきたい。

本質的すぎて予定調和的な空気のトークはできないかもしれないけど。笑




自民党総裁選が終わり、安倍首相の3選が決まった。

自民党の総裁選とはつまり、自由民主党という政党のリーダーを決めるための選挙。
現在の日本の政治では、与党第一党のリーダーが総理大臣を担うことが常になっている。

今回の一連の流れについてはNHK WEBに詳しい。

参考:NHK WEB 自民党総裁選結果


2012年の総裁選では党員表で石破氏が安倍氏を大きく引き離していた。
2012年の総裁選挙では、党員票で石破氏が40都府県で得票数のトップとなり、都道府県に割り振られた300票のうち165票を獲得。安倍氏を大きく引き離した。
今回は党員表が議員表と同数になったことでその結果が注目されていた。


結果としては安倍氏の勝利であったが、石破氏は存在感を示した。
今後、ポスト安倍として党内で影響力を増すことになるのではないかと予想されている。



ところで、総裁選の仕組みをきちんと理解できている国民がどれくらいいるだろうか。
国会議員を決める選挙を国民が行い、選ばれたのが国民の代表である国会議員である。
そしてその代表が総理大臣を決めることで、民主主義が担保されている。

しかし元大阪府知事の橋下徹氏はこれを批判している。
今回の総裁選で最後にすべき、というもので大変興味深かった。


橋下徹「なぜ今回の総裁選はいらないか」


ところが、ややこしいのは自民党という一私的団体のリーダーは、多くの場合内閣総理大臣(首相)、つまり日本国のリーダーになってしまうということなんだよね。だから自民党員だけじゃなく有権者全体の関心事になるのは当然で、ゆえに安倍さんと石破さんの徹底論戦が必要だ、というメディアやインテリの主張につながっていく。

結局、日本においては、一私的団体である自民党のリーダーを決めるプロセスと、日本の国のリーダーを決めるプロセスとの整理ができていないんだよ。

民主国のリーダーはその国の国民、すなわち有権者が決める。大統領制の国では、有権者が直接投票してリーダーを決める。日本のような議院内閣制の国では、有権者は国会議員を選び、そして国会議員が首相たるリーダーを決める。

日本の国は、現在のリーダーをいつ決めたのか。それは昨年2017年9月に行われた衆議院議員総選挙だよ。このときに安倍さんは自民党のリーダーとして選挙戦を戦い、有権者の多くは安倍自民党に所属する国会議員に一票を投じて、自民党・公明党の連立政権を誕生させ、その結果安倍さんが首相に選出された。ここで有権者の意思はしっかりと示されたんだ。

それなのに、今回の自民党総裁選という一私的団体に過ぎない政党のリーダーを決める選挙で、日本国のリーダーが変更になるとしたら、有権者としてはたまったものじゃない。2017年9月に600億円ほどかけてやった衆議院議員総選挙は何だったのか? となる。



これを読むまで気が付かなかったが、言われてみればその通り。
せっかく国民が総選挙を行って国会議員を決めて、国会議員が首相を決めたところなのに
これで総裁選の結果で石破氏に首相が変わってしまったら国民の意志に反することになってしまう。

総裁選が総理大臣選挙になってしまう現状は国民主権の前提を崩しかねないし、今後も実行しないほうがいいという意見に賛成だ。

こうした意見をテレビ、ネットと媒体問わずに発言できる橋下徹氏のような知性が求められているし、
その一方でこれだけの人材はそうそういるものではないだろうということも思う。

橋下徹氏の話はぜひ一度生で聞くべきだろう。

非正規雇用の拡大を推し進めるのであれば、最低賃金はパートタイマーが余裕を持って暮らしていける水準まで持っていくべきだ。

今年度は最低賃金を全国加重平均で26円引き上げるべきだとの目安を、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会がまとめた。

引用:最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴


東京は985円で最高、最低額は鹿児島は761円。

非正規雇用者が増え、成人男性であっても時間給で働く人々の数が増えた。

時間給労働者は正規採用者と比較して年収が低い傾向にある。
企業経営の上で、非正規雇用者の賃金はコストカットの対象となり、賞与や手当もなく、昇給もほとんどない。




キャリアアップやスキルの習得という点でも不利で、非正規雇用者の高年齢化が日本の社会問題化している。
必要な自己投資や貯蓄をすることができないため、負のスパイラルに陥る。


年収と配偶者の有無には相関関係が見られ、一般的には年収が低いと結婚がしにくいとされる。
恋愛に回すだけの経済的余裕がないためだ。

首都圏の住宅コストは高騰しており、高い家賃を避けるために長時間通勤も慢性化。

恋愛ができない、子供を生んでも保育園に預けられない、教育費も高い。


結果として日本は世界史上類を見ない超高齢社会を迎え、労働力が不足し、世界的な競争力を失っている。


「高い人件費がネックとなり、世界的に競争力を持つ商品を作れない!」
と声高に叫ばれた時代を経て、日本の人件費はアジア諸国と比較しても高くない時代を迎えた。

人件費を削るために派遣社員や契約社員といった非正規雇用制度が活用されるようになって久しい。

物価の上昇が抑えられたため高品質の商品が超低価格で手に入るのが現代日本だ。


競争力のあるビジネスを追い求め、人への投資を削った結果が長引くデフレと超高齢社会という皮肉。


賃金を上げ、高付加価値の商品を開発しなければならない。
時給1000円すら払えない中小企業は今後倒産するのかもしれない。

しかしそれでは働いている人々が幸せになれないのだから倒産しても仕方ないのではないだろうか。


女性の貧困も問題になっているが、女性が一人でアルバイト生活をしていても十分に暮らしていける水準まで最低賃金を持っていくことができなければますます日本は競争力を失う。







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