年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

アベノミクス解散を経て、衆議院議員総選挙の投開票日(12/14)も迫ってまいりました。
新聞や雑誌をはじめとする各メディアでは、第二次安倍政権の総括として、その成果を検証する試みが始まっています。
エコノミストの間では、デフレ脱却を評価する一方で、財政再建や成長戦略については悲観的な見方が多いようです。恐らく、今回の選挙も与党の勝利で終わるはず。このまま円安が進行して実質賃金が目減りしていく中で、庶民はどのように生活を防衛していくべきなのでしょう・・・。

そこで今回は、安倍政権の源流とも言える小泉政権下に出版された森永卓郎氏の『年収300万円時代を生き抜く経済学』をご紹介いたします!

森永卓郎氏といえば経済系の講演会でもお馴染みですよね。
下記のような講演依頼サイトにも多数登録されています。
森永卓郎

さて、森永氏の講演テーマにもある「年収300万円時代を生き抜く経済学」。
同書が出された2003年といえば、安倍政権でも政府産業競争力会議国家戦略特別区域諮問会議に名を連ねる竹中平蔵氏が、通称「竹中プラン」と呼ばれる金融再生プログラムを推進していた頃です。
私の手元にあるのは、2003年に出版された『年収300万円時代を生き抜く経済学』とその続編(累計37万部売上)を再編集し、2005年に文庫化されたもの。

当時の「痛みを伴う改革」といった表現でも知られるように、小泉純一郎-竹中平蔵ラインによる構造改革路線は、金融機関の不良債権処理をハードに推し進める一方、高齢者や低所得層への保障を制限するなど、デフレ不況とあいまって、格差の拡大を招いていました。
本書は、一般サラリーマンの年収300万円時代が到来すると共に、非正規雇用の増加によって年収100万円台の層が実に1/3を占めるに至った時期に発表された一冊になります。

そんなデフレ不況下において、森永卓郎氏は金が金を生むような勝ち組エリート層の思惑を解き明かした上で、一般市民はそうしたエリートに加わることを無闇に夢見るのではなく、むしろ階級社会が厳格なヨーロッパ(ラテン)や江戸時代の日本を参考に、限られた資産の中でいかに好きなことを見つけ、人生を楽しむかを考えるべきと、「積極的な諦め」の姿勢を説いていきます
もちろん、そのためには生活を守る予算管理とリスク管理を徹底する必要がありますよね。。。
森永氏は著書の中で、日常的な節約術から、不動産・保険・金融商品等の取り扱いに関する具体的なノウハウまで分かりやすく指南してくれます。

巻末に付記された文庫版(2005年)の新章では、自身の半生を振りかえりながら、既にある程度の資産を備え、今やB級コレクションの博物館設立を企図している森永氏にとって、個人的にはデフレ社会の方が安価に不動産を得られるために好都合であることは認める一方、アメリカ型のエリート的な生き方には全く惹かれないと主張しています。
むしろ低所得でもそれぞれに楽しみを見つけて暮らす人々への親近感を表明すると同時に、新自由主義や市場原理主義について、「構造改革の名を借りた弱者切り捨て」だとして強く非難。
デフレの恩恵を受ける経済論者達がハイパーインフレの懸念を建前にインフレへの転換を阻もうとする姿勢を批判しており、アベノミクスでついにインフレへと切り出したこれからの経済展望を語る上でも示唆的な内容といえるのではないでしょうか。


次回は気になるその内容を、もう一歩踏み込んでお伝えいたしますね。
森永卓郎氏の講演会も全国各所で行われているので、ぜひ足を運んでみてください


12/14の衆議院議員総選挙に向けて、主要政党のマニフェストが出揃いました。
時事通信社のサイトに比較表がまとめられています。
(国民新党? というのが謎ですが...)
マニフェスト
各メディアの世論調査では、当然ながら消費増税を含む経済政策・景気対策や、主婦層を中心とした子育て問題、高齢化社会へ向けた年金等の社会保障についての関心が大きいようです。

経済政策を基準に支持できる政党が、例えば原発政策や安全保障・憲法改正等の面で支持できない場合も多々あり、投票を前に頭を悩ませておられる方も多いと思います。
また、自民・公明といった与党の政策は決して評価できないと考える一方で、民主党を始め十分な政権運営能力を有する野党も見あたらず、結局は棄権してしまうという有権者も少なくないのではないでしょうか。


自民党は勝敗ラインを過半数に設けていますが、結果的には低投票率の末に与党の大勝に終わる公算が高いと見られています。

そうなると、またしばらくは自公政権が続くことに・・・。
我々の生活に直結する事態だけに、改めて今回の選挙は重要です。

各政党が経済政策のマニフェストを掲げたサイトのリンクを以下にまとめてみました。
是非、今後の参考にされてください

自民党:2017年4月に消費税を10%に増税することが明記されています。

民主党

公明党

社民党

共産党

維新の党

生活の党

次世代の党




2014年の新語・流行語大賞にもノミネートされている「トリクルダウン」。
元々は「trickle-down=滴り落ちる」という意味で、
まず大企業等の富裕層が豊かになれば次第に庶民や貧困層にもその恩恵が波及するという経済理論ですが、アベノミクスが推進する新自由主義の代表的な考え方の一つとされています。

「消費税を導入したことによって、消費の回復が遅れている。遅れている理由は、消費者が守りに入っているという点があります。それから、名目賃金は上がって いるのに、実質賃金がついてきていない。つまり、企業収益が完全に好循環を回し切っていないというところです。トリクルダウンがまだ弱いということです。 だから、トリクルダウンを強くする。あるいは「ないんだ」ではなくて、収益を上げたところから還元していかないと、儲かっている人がため込んでいるだけ で、一切外に出しませんといったら、経済の回復などあり得ない。だから、トリクルダウンを速くするという課題や、実質賃金ができるだけ早くプラスになるようにしていくなど、そういう課題が残っている」 ――甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての点検会合について 2014/11/14)

と、経済財政政策を担当する甘利明内閣府特命大臣が最近の記者会見で話していました。
消費税増税の一方で法人税を減税するのもトリクルダウンの一環に他なりません。
しかもその財源として外形標準課税(資本金や従業員数等の企業規模に応じた課税)を強化するとなれば、業績にかかわらず税金がかかるため、利益を生み出せていない企業の負担は増加し、更に格差が広がることも予想されます。

円安が進めば自動車などの輸出をメインとするワールドクラスカンパニーは潤い、
株価が上昇すれば金融商品に十分な投資を行える富裕層も潤う――。
こうしてトリクルダウンの上部に位置する少数の富裕層が景気回復を実感しうる一方、
物価上昇にともなう実質賃金の低下にあえぐ庶民が多数を占めているのが実情です。

以前に講演会レポートを紹介した経済評論家の三橋貴明氏は、
安倍政権が重視すべきはトリクルダウンよりも「トリクルアップ」であると説いています


「貧困層を支援し中間層化することで、経済成長率は却って高まる」
政府や財界の思惑を探るためにも三橋貴明氏の講演会はオススメです

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