年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

経済講演会でも大人気の講師・池上彰氏が斬る2014年総選挙。
前回、安倍首相へのインタビュー全文をご紹介した選挙特番では、
番組テロップに表示される政治家の一言プロフィールを、池上さんが手がけている点も人気でした。

例えば、麻生太郎氏は「総理も恐れる失言癖 洗礼名フランチェスコ」。
山本幸三元経産副大臣は「消費増税延期の急先鋒 どじょうすくいを踊る」。
松島みどり前法務大臣は「゛うちわ”はもう作りません 東大゛初”のチアリーダー」。
などなどユーモアあふれる情報ばかり。
こうした手法は他局でも踏襲されていましたね。。。

そして、今回も番組中では池上氏の数々のコメントが冴え渡りました!
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まずは番組序盤で、自民党が民主党・海江田代表の選挙区を狙い撃ちするように重鎮を次々と応援に送り込んだ選挙戦術について、「えげつない戦い方」と形容。

人気の小泉進次郎氏へのインタビューでは、自民党のあり方を一部では批判的に語りつつも、演説の結びには「自民党をお願いします」と語るんですね・・・と鋭く切り込みます
そして、父・小泉純一郎氏が脱原発を強く訴えているのを背景に、自民党が進める川内原発の話題も触れてみせたり、憲法改正について明確な意見は発していないのではと迫ったりと、原発・憲法改正において自民党の方針に従うだけで小泉進次郎氏独自の方針が見えないことを指摘。
一方で、本人に対しては、「総理大臣への意欲 野心 それがにじみ出た」とも評していました。

また、鈴木宗男氏の娘で、民主党より出馬し当選した鈴木貴子氏に対しては、「父親離れしてないのでは?」と迫る場面も。

さらに、公明党・太田昭宏元代表の東京12区では、自民党はもちろん民主党も候補者を出しておらず、前回の選挙では全国平均の3倍以上も白票が多かった地域と紹介。
そこでは太田氏のポスターに「公明党」と一切書かれておらず、国土交通大臣とのみ記されており、公明党を前面に出すのではなく、安倍政権の重要閣僚であることをアピールする思惑を看破していました。
その太田氏のもとには、安倍首相や舛添都知事も応援演説に駆けつけるほど。
住民にとっては投票可能な選択肢が極めて限られる地域ゆえに、やむを得ず白票も多くなるのだと見られています。
そうした太田氏の事務所には様々な団体から推薦状が届いてることをうけ、池上彰氏は、「監督官庁として進める規制改革に支障をきたすのでは?」との質問をなげかけます。
また、JTBという国土交通省管轄下の企業が、公明党応援の社内通達を出したことにも堂々と質問を浴びせました。

かねてより公明党と創価学会の関係性に批判的に切り込んできた同番組ですが、公明党・山口代表に対しては、結党50年をむかえる公明党の党史の一ページ目に池田大作氏(創価学会名誉会長)の写真が大きく取り上げられていることを投げかけ、同党が創価学会と不可分な組織であることを「歴史的な事実」として見事に認めさせました。

こうした池上彰氏のコメントの数々は、ネット上で「池上無双」と高い評価を得ています。。。
さきの朝日新聞を巡る騒動からも伺えるように、世間に対して絶大な影響力を誇る池上氏を、政治家の方々も無碍にはできないのでしょう。
それもすべて踏まえたうえで、池上氏はあえて、「ここが変だ」と国民が思うポイントに鋭く切り込み、視聴者の政治への関心を高めることに成功しているのではないでしょうか。

もちろん、池上氏の講演会ではこうした政治経済を巡る疑問に分かりやすく解説を加えてくれます
一般人が聴講できる機会は決して多くないので、お聞きになりたい方は日頃からネットで情報をこまめに探しましょう。
池上彰氏に講演を依頼されたい主催者さんは、講師派遣サイトにお問い合わせしてみてください

大方の予想通り投票率が戦後最低の数字にまで伸び悩み、与党が議席の3分の2を占める圧勝に終わった2014年今回の総選挙。
こうした選挙の度に注目を集めるのがテレビ東京の選挙特番ですよね。
何と言っても、ジャーナリストの池上彰さんが政界のタブーに鋭く切り込む痛快なコメントの数々が、お茶の間で幅広い支持を集めています。
池上彰の総選挙ライブ

池上さんはご多忙のためそれほど講演回数は多くないのですが、それでも年に何回かは一般向けに実施されています。
私は今年、某生命保険会社さんで実施された講演会を聴講する機会があったのですが、会場には主催者さんの想定以上に人があふれ、取引先への招待制企画にもかかわらず、軽く500名は超える集客(オープンな会であれば1000名~2000名は軽く集まるのではないでしょうか)。
講演の内容も、分かりやすさと切れ味抜群のトークで、政治経済・社会問題・国際情勢をめぐる様々な話題を解説してくれました。
しかも! 講演後にはテーブルごとに集合写真を撮ってくれるサービスまで
聴講者全体の満足度は非常に高かったと思います。
詳しくは講演依頼サイトにお尋ねください。。。

さて、今回の選挙特番の中でも特に注目されたのは、池上彰氏と安倍首相とのやりとりではないでしょうか。そこで、忙しくてテレビを見られなかった方々のために、これからインタビューの全文を一挙掲載いたします

                                                            

(池上彰氏)「安倍さん、自民党、こう非常に当選者数を増やしています。この結果は満足していらっしゃいますか? いかがですか?」

(安倍首相)「まだ最終の議席が確定しておりませんが、とりあえずは目標であったですね、自公で過半数、衆議院の選挙というのは政権選択の選挙でありますから、我々の政権が、自公政権が続いていくということが確定した、ということについては一安心しております。また同時に大きな責任を感じています」

(池上彰氏)「はい。これだけの信任が得られたというのはアベノミクスが有権者から支持されたという風にお考えでしょうか?」

(安倍首相)
「アベノミクスはまだ道半ばでありますが、しかし、二年前、三年前のですね、あの暗く低迷した時代、あの経済状況を一変することができた、という印象を持っていただいたと思いますが、まだ実感できないという方が沢山いらっしゃるということは我々もよく承知をしておりまして、その皆さんにお届けしていくことが我々の使命であり、それをしっかりとやっていけ、という好意だと、このように受け止めております」

(池上彰氏
)「はい。今、スタジオの中のゲストからもですね、物価が上がって生活が苦しい、何とかして欲しいという声もありました。それにしてもですね、非常に気がかりなのは今回の投票率の低さです。街を出、色々なところで声を聞いてもですね、今回なんで選挙をするのか分からない、関心がないという人が非常に多かった、推定投票率がこう出ました、52%をちょっと超えるくらいです。これだけ低い投票率のなかでの勝利というと、あまりこう自慢ができないんじゃないかと思うんですがいかがでしょうか?」 【テロップ:推定投票率52.32%前後(午後8時現在 総務省)】

(安倍首相)「あの、前回の総選挙もですね、これはまあ最低と言われました。我々野党ではありましたが責任を感じていました。これは与党も野党もないんだろうと思うんですね。政治においてしっかりとその信頼を獲得するように努力をしていきたいと思います。同時にですね、この寒いなか雪のなか投票所まで足を運んで、自民党、民主党あるいは共産党等にですね、しっかりと投票していただいた皆さんに改めて敬意を評したい、こんなように思いますし、昨日もですね、霙(みぞれ)の降るなかずっと我々の演説に対して最後まで耳を傾けていただいた沢山の皆さまがおられた。そういう皆さんに感謝をしたいし、そしてそういう方々が自民党・公明党に一票入れたことによって、我々は今後、政権を、今後もですね、続けていくことができる。改めてそういう皆さんに感謝を申し上げたい、こんなように思います」

(池上彰氏)「はい。先ほど視聴者からも色々なメールが来ているんですが、そのなかに安倍さんのための選挙ではなかったのかという声もありました。よく総理大臣になった以上、一度は解散総選挙したいものだと皆さん思っているとよく言われます。おじいさまの岸総理大臣も解散総選挙を成し遂げました。やはり解散総選挙、一度は自分の手でという思い、お持ちだったんでしょうか?」

(安倍首相)「解散総選挙というのはですね衆議院全員の議席を奪うわけでありまして、我が党はすでに290・・その段階で5議席を持っていました。この295議席、前回の選挙においてはですね、3年3ヶ月の浪人生活を終えてやっと議席を獲得した方々がいました。そう簡単な気持ちでですね、その人たちの首を飛ばすなんてことができるわけがないんですね。それはもう考え考え抜いて、そしてまた私はですね、まさに代表なくして課税なしでありました。税に関わる大きな変更というのは国民に信を問わなければならないと、これが私の信念であります」

(池上彰氏)
「分かりました。集団的自衛権をめぐる解釈の議論のときにですね、国会で安倍総理は『私の考え方に反対するのであれば次の選挙で政権を変えてくれればいいじゃないですか』とこうキッパリおっしゃってましたね。その割には今回の選挙でアベノミクスのことは随分お訴えになったんですけれども、集団的自衛権の憲法解釈、こういうことをあまりおっしゃっていなかったように思うんですが、これはどうなんですか?」

(安倍首相)
「そんなことはありませんよ(苦笑)。今までずっと何回もですね、テレビの討論会で随分議論したじゃないですか。で、街頭演説というのは時間が限られています。その限られている時間のなかでも、私は7割8割はですね、安全保障についてお話をしているはずですよ。時間の分配というのは、それはアベノミクスの説明があります。そして、なぜ消費税を一年半先延ばしをしたかという説明があります。そして、私たちが今進めている社会保障政策、ありますね、子育て支援があります。そういう政策について一時間の講演なんかできないんですから、街頭ではですね、当然そのなかで時間の配分の長さがあります。当然、私はそれを訴えてきたのは当然でありますし、いくつかの新聞はですね、これを問う選挙という風にキャンペーンをはっていたのも事実ですね。ですから皆さんも、もしこれが自民党が負けたらですね、それがまさに宿題だったと言われるかもしれませんが、勝ったから訴えてなかったというのは私はおかしいと思いますね」

(池上彰氏)
「なるほどね。分かりました。ということはつまり、こうやって自民党が勝ったということは集団的自衛権の憲法解釈、この安倍政権がやってきたこと、国民が支持してくれたんだと、こういう風に受け止めてらっしゃるということですね」

(安倍首相)「選挙というのはですね、いつも政権公約を出して、それを皆さんにお配りをして、理解をしていただいたうえで投票していただく、というのが基本的な姿勢だと思いますね。ですから我々はお示しをしている政策においてご理解を頂いたとこのように思っておりますし、まさに我々はすでに7月の1日に解釈の変更をしておりますから、それを加味した上での選挙であったと、またテレビの討論についても私は何回もそれは申し上げているとおりであります」

(池上彰氏)「分かりました。そしてこれだけの議席を確保しますと、安倍総理大臣の悲願である憲法改正が視野に入ってくると思うんですが、やっぱりご本人の手で憲法改正を成し遂げたいということですね」

(安倍首相)
「国民的なご理解が必要です。3分の2の国会における勢力をですね、作ったとしても、国民投票で過半数の支持を得なければいけません。まずそこから始めていきたい、理解を深めていくことから進めていきたいと思っています」

(池上彰氏)「はい。憲法改正に向けてこれから一歩一歩進んでいくということですね」

(安倍首相)「そういうことですね」

(池上彰氏)
「分かりました。ありがとうございました。(中継終了)やはり憲法改正についての熱意というか、野望をまったく隠そうとされなかったということですね・・・」

                                                            

いかがでしたでしょうか?!
議員定数削減が反故にされている問題や、特定秘密保護法の危険性、2006年の原発をめぐる国会での「全電源喪失は起こりえない」という発言とそれを議事録から削除していた問題、また前回選挙の自民党ポスターに「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」と掲げられていた問題、政治とカネの問題などなど、ネットでも騒がれていた疑念の数々にまだまだ切り込んで欲しいところもあったのですが、時間が限られているので仕方ありませんね・・・。

詳しいお話は、時間もたっぷりで、テレビで言えない裏話まで聞けちゃう池上彰さんの講演会を楽しみに待ちたいと思います

前回に引き続き、森永卓郎氏の著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』を紹介いたします。
アベノミクス解散に伴う総選挙を控え、森永氏には講演依頼が殺到しているのではないでしょうか。
森永卓郎 講演依頼
講演会でも経済展望やビジネス・経営論を中心にお話されます。
テレビでもおなじみの柔らかい口調で、分かりやすく解説してくれるのでオススメです。。。

それでは、名著『年収300万円時代を生き抜く経済学』の気になる中身を要約すると以下のとおり。

①政権と勝ち組エリート層の思惑:
90年代後半のITバブルによって一部の“勝ち組”にキャッシュが集中しました。
バブル崩壊以降、地価が急落する中で、その“勝ち組”が資金力を活かして不動産を安価に取得。
それまでの日本では、土地を担保にした間接金融システムがあったため、銀行も融資を行いやすく、企業経営は高い安定性を保ってきました。
不況下でも、銀行は中期的な観点から、担保の土地を競売に出すよりは少しでも収益の見込めるよう一部債権放棄の対応をとっていたのです。
しかし、竹中平蔵氏の「金融再生プログラム」によって短期間での不良債権処理を強硬に迫られた大銀行は、過剰債務にある大企業の不動産を吐き出すほか無く、それを資金調達能力に優れたハゲタカファンド等の”勝ち組”が絡めとってゆく構造になってしまいました。
後は時機が来たら金融緩和によってデフレを終わらせ(インフレターゲットの導入)、地価を吊り上げるこ とで“勝ち組”に莫大な利益が生まれるというカラクリです。
デフレは十分なキャッシュを保有している者ほど美味しい資産を獲得して更に利益を増やすことのできる弱肉強食の世界。
強者がデフレ時代に掻き集めた資産はインフレによって大きな利ざやを産むのでした。。。

②年収300万円時代

デフレが続けばいずれ物価以上に賃金水準が低下します。
政府が推し進めるようなアメリカ的な市場原理のシステムが浸透すれば競争は激化し、中流が消失する形で格差は更に拡大するでしょう。
これはレーガン政権時代に市場原理が強化されたことでアメリカに起こったのと同じ事態。
周知のとおりアベノミクスという造成語はレーガノミクスに由来しているため、何とも示唆的ですね。
ひいては年収格差が食や医療、子どもの学力差にまで影響し、9割が“負け組”に・・・
こうしたアメリカ型世界でいつ競争から脱落するかに怯えながら24時間働くエリートよりも、階級制の厳しいヨーロッパや不況下でも自殺者の少ないラテン社会のように、会社以外に一生付き合ってゆけるライフワークを見つけ、低所得なりに楽 しみながら人生を送る方が豊かだと森永氏は説きます。

③幸せに暮らす智恵と工夫:

デフレが続けば収入が減るのとともにリストラのリスクが高まり、たとえ緩やかなインフレに転じても成果主義の浸透で賃金上昇は物価に追いきません。
限られた収入を効率的に使うには、収支を見直す方法論や、予算管理と不測の事態に備えるリスク管理が必要です。

そこで森永氏は、住宅ローンを固定金利期間変動型にするのはインフレ時にリスクが大きい、保険会社の経営を危惧した生命保険の安易な解約は損をする、国民年金保険料の免除制度を活用するなど、生活を守るための具体的なノウハウを指南してくれます。
公的医療補助制度、出産補助制度、医療費や住宅取得時の控除、クーポンや株主優待、クレジットカード割引、金券ショップ、ポイント有効利用などについても例示されているので、積極的に取り入れてみてはいかがでしょう。

十年以上前に出版された本ですが、アベノミクスによってインフレに転じた現在の状況を鋭く言い当てているように思えます
森永卓郎氏の講演ではこうした的確な経済展望を伺えるので、機会があれば是非、聴講してみてください

追記:ある講演会主催者さんの情報によると、森永卓郎氏は講演料等に細かな決まりごとがあるようなので、講演依頼を検討されている方は講師派遣サイト等へ事前に確認しておくと良いそうです

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