今週号の「週刊ダイヤモンド」は満を持してピケティを特集しています。
池上彰氏や佐藤優氏、前回の記事でとりあげた森永卓郎氏などが、
ピケティへの支持率(その主張が正しいと思う割合?)が何%かを述べていて面白いです。
ピケティ

池上彰氏によるピケティ『21世紀の資本』の重要なポイントは以下の3点。

①おかしい!という一般大衆の思いを見事に説明してくれる。
アベノミクスの範ともいえるレーガン政権(レーガノミクス)以来、
アメリカでは「トリクルダウン」(まず富裕層を豊かにすれば、その富はおのずと庶民へ滴り落ちるという考え方)が信じられてきました。しかし、現実は決してそうはならず、最富裕層1%が国全体の所得の20%を占める状況になってしまったのです。
2011年にアメリカの若者たちが起こしたウォール街占拠デモに象徴されるように、「おかしい!」という大衆の漠たる思いを経済学の観点から理論的に支えてくれる本として、ピケティが支持されているのです。

②理論のマルクスとデーターのピケティには意外な共通点がある。

経済学を代表する固有名をあげるとすれば何を措いても『資本論』のマルクスですよね。
資本主義への危機感に呼応して生まれた共産主義の礎となったマルクスですが、
その根底には、当時あまりにも政治的になっていた経済学への批判がありました。
そしてピケティも、数学化して社会の実態とかけ離れてしまった経済学への批判を出発点に、
むしろ今こそ政治経済学を復権させるべきとの思いを抱いています。

③「r」(資本収益率)は「g」(経済成長率)より大という目から鱗 理論より行動を促す

ピケティのチームは税務当局の納税記録に着目し、世界20カ国以上のデーターを過去200年以上にわたって収集するとともに、その分析手法を世界に公開しました。
池上氏はピケティの「r>g」という不等式について、以下のように要約しています。

「資本収益率とは株や不動産などあらゆる資本から生み出された平均収益率。18世紀以降はおおよそ4~5%で推移してきました。一方、国民所得の伸びを示す経済成長率は長期的には1~2%にとどまる。資本によって得られる収益は、働く人の賃金の伸びを上回り、格差が自然と広がっていくことを明らかにしたのです」


そして、かつての経済学者なら、なぜ「r>g」となってしまうのかについて精緻な理論を組み立てようとするところ、ピケティは「その理由は分からない」とした上で、議論と行動を促しているところが特徴的だと見ています。

ピケティについて池上氏は記事の中で、「私の『21世紀の資本』に対する支持率は80%でしょうか。データや歴史分析の知見を使い、世の中を良くしていこうよ、さぁここからは格差を減らすための行動をしなければなりませんよ、という彼のメッセージをきちんと受け止めるべきだと思います」と締めくくっています。

これだけ世間の話題を集めているトピックだけに、『21世紀の資本』については、池上さんの講演会でも分かりやすく解説してくれると思いますよ



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