前回もご紹介した「週刊ダイヤモンド」のピケティ特集で、池上彰氏がインタビューを行っています。
池上氏はそのインタビューの成果として「若い人と民主主義のために書かれた本だと確認できた、これが最大の収穫です」と述べられています。

気になるアベノミクスの政策については以下のようなやり取りがありました。

池上:アベノミクスでは金融緩和によって実質金利をさらに引き下げることで何とか経済を良くしようとしていますが、これをどう評価しますか?

ピケティ:もしお札を刷ってさらにマネーの供給を増やすと、資産価値のバブルを引き起こしやすくなる。株価を押し上げることにはなりますが、格差が広がる恐れがある。はっきりと有効かどうかを答える自信は有りませんが、いずれにしても税制を変えるより手軽という意味で短絡的な手法だと感じています。

ピケティは富の最分配を促すべく資産に応じた累進課税の重要性を説いており、消費税については「あまり当てにすべきではない。消費税は累進性がなく、低所得層にしわ寄せがいきます。もともと貯蓄の少ない層に税をかけることで消費を抑えかねません。あまり、良い税ではないですね」とも断じています。

そしてこのインタビューは以下のように結ばれています。

池上:これまでお話を伺ってきましたが、本当に若い人たちのことを考えているのですね。

ピケティ:日本でも欧州でも、理由は違いますが、若い人の方が親の世代に比べて生きるのが難しくなっています。欧州では若い人だちの失業率が高く、これが社会に緊張感をもたらしています。日本は労働市場の仕組みが若い人に厳しい。パートや非正規の人が増えており、待遇も良くない。日本でも欧州でも、若い人たちに希望を与える政策を取ることが重要です。

池上:まさにこの本が民主主義の本であることを確認できました。今日はこれが収穫です。ありがとうございました。

全てを踏まえ、池上氏によるピケティ『21世紀の資本』の支持率は80%とのこと。

一方で、『構造と力』の浅田彰氏が指摘するように、「マルクスが『資本(論)』で資本主義のメカニズムを原理論的に説き明かし、資本主義を乗り越える方向を示したのに対し、ピケティの『21世紀の資本(論)』は、資本主義下で(戦争の時期を除き)格差が拡大する傾向にあることを統計から現象論的に実証し、税制によるその是正を提案するだけ」(憂国呆談という部分は否めません。
ピケティを英雄のようにもてはやす必要はなく、彼が警鐘を鳴らす格差拡大の課題に対し、それを解消する具体的な政策こそが求められているのだと思います

池上彰 ピケティインタビュー

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