2015年7月27日、上海市場で株価がまたしても急落(-8.48%)しました!

西洋諸国がギリシャのデフォルト危機にゆれる中、6月中旬から7月8日までのたった3週間で30%を超える大幅な下落を見せ、世界を震撼させた上海株。
その後は証券当局と中央政府のなりふりかまわぬ市場介入によって何とか落ち着いていましたが、先週末に発表された製造業の景況感を巡る指標や工業部門の企業利益が前年割れと予想を下回る結果となり、急速に不安が拡大。
回復分を一気に吐き出す形で株価が急落し、中国経済の先行きに暗雲が立ち込めています。

そもそも上海株はどのようにして高騰し、また急落したのでしょうか?
今回はその経緯について要点をまとめて整理してみたいと思います

上海株 チャート


ことは2014年11月22日にさかのぼります。
直前7-9月期におけるGDPの成長率が伸びなやむ中、2年4ヶ月ぶりの利下げが断行されました。これを市場が好感し、株価は急騰。株価指数は2500ポイントから1ヶ月で3000ポイントに値を上げたのです。

すると、全国人民代表大会を間近に控えた2015年2月28日にも、市場のカンフル剤として追加の利下げを実施。周小川・中国人民銀行総裁が、株式市場への資金流入が景気を下支えしているとして株高を歓迎する発言を行うとともに、人民日報はこうした株価の急騰がバブルではないと強気の報道を繰り返します。

さらに2015年5月10日にも更なる利下げが行われ、6月5日には、上海総合指数が実に7年振りとなる5000ポイント台を回復するに至りました。
上海株のチャートを見ても分かるとおり、わずか7ヶ月の間で、実に株価は倍増したのです。

しかし! その一方で、GDPの成長率は改善しておらず、実体経済と株価との間には明らかな乖離が生じていました。

政府がこのような“官製相場”というバブルを生成した理由として、先週号のダイヤモンド誌上では以下の二点が挙げられています。

①第一に、家計の金融資産を増やすことができること。不動産価格の下落や預金金利の低下で行き先を失っていた家計の過剰貯蓄の資金は、株価が上昇に転じると雪崩を打って株式市場に流れ込んだ。

②第二に、銀行融資による間接金融から株による資金調達という直接金融に切り替えることで、企業の資金調達を容易にし、過剰債務を解消させることができた。


しかし、その実情は、個人投資家による信用取引が急激に拡大し、株式売買の6-8割を占めるに至っていたのです。
また、こうした個人投資家が大勢を占めると、何か生じた際に一方行へと流れやすいとも言われています。
脆弱な信用取引の膨張に危機感を募らせた証券当局は、2015年6月12日、信用取引が自己資本の4倍以下となるよう規制を強化します。
この瞬間、株式バブルは崩壊しました。

そもそも投資家たちは手持ちの株を担保にして資金を借り受け、自己資本の何倍もの取引を行っている以上、株価が下落に転じてしまうと担保価値が目減りするため、担保の株を追加するか借り入れた資金を返済しなければならないのです。
こうして株式バブルがはじけた途端、返済資金を確保するため、個人投資家たちが一斉に売りに走るという事態に陥りました。


6月28日には、これまで魔法のように用いてきた追加の利下げに踏み切ったものの、大した効果は得られず。再び4000ポイントを割り込む事態に慌てた証券当局は、株式手数料を3割引き下げるとともに、信用取引の規制を緩和します。
さらに証券会社には株価が回復するまで株売却を禁じつつ、日本円で約2兆4000億円にもおよぶ大量の上場投資信託購入による株価の買い支えを指示。
そして、7月7日には、200以上の銘柄を売買停止としたのです。

加えて、中央政府も事態の収拾に動きました。
「中国人民銀行が、中国証券金融の資金繰りを支援すると発表」
「国有資産監督管理委員会が、監督下の企業に対し、市場が不安定な間の株式売却を禁止」
「財政部は、自らが所有する上場企業の株式を売却しないと発表」
「政府機関が株価暴落の報道規制を各メディアに通達」
「公安部が悪質な空売りを調査」
と、海外投資家は思わず逃げ出したくなるような、なりふり構わぬ対策を国家レベルで講じたことで、かろうじて株価は下げ止まりを見せたのです。

そして、本日。やはりとでも言うべきか、そこから再び上海株が急落してしまいました。
池上彰さんの講演会で教えてもらったほうが早そうですが、次回は、この先、恐れられる中国実体経済への影響についてお伝えいたしますね。

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