前回の記事()でお伝えした上海株の急落後、中国政府は人民元の切り下げを相次いで実施。人民元の価値を下げることで(通貨を大量発行する量的緩和と同様の効果として)通貨安の状態を作り出し、輸出増による利益拡大を図っているという見方もある一方、IMFも織り込み済みの反応であるという識者もいるようです

いずれにせよ、江沢民一派との権力闘争を抱える習近平政権の下、なりふりかまわず4兆元(約80兆円)もの大金を投じた株価下支え策も水泡に帰し、天津倉庫の大爆発事件を更なる引鉄として、株価は続落。
約一年前の水準にまで値を下げる勢いで、政府の更なる介入も予想されています。
一昨日の8月23日には株価引き上げのために年金基金を投じるとの発表が出た後も市場は悲観し、多くの投資家は雪崩を打つようにリスク回避の売り抜けへと流れています。
上海総合【000001


もちろん、中国への輸出に依存しているアジア諸国や、資源を多く輸出しているオーストラリア・南アフリカをはじめとする各国への影響は大きく、世界経済への不安が増大するなかで、いよいよ世界的な同時株安に発展しました。

ニューヨークでは優良銘柄で構成されるダウ工業株30種平均=ダウ平均が大幅にポイントを落とし(前週末の終値に比べ1000ドル超も一時値下がり)、ドルも急落。一方、円は急騰し1ドル=118円台に。東京市場でも日経平均株価は1万8千円台を割りこむ事態(今年1月の水準)にまで陥っています。
原油価格が低下しているにもかかわらず、4-6月期のGDPは前期比0.4%減、年率換算で1.6%減とアベノミクスの経済効果に暗雲が垂れ込める中での事態に、日本経済の先行きは混迷を極めています。
きっと今後の株価は乱高下を繰り返すのではないでしょか。

経済評論家で、年間200件もの講演を行っている三橋貴明氏は、自身のブログの中で、

“結局のところ、日本、アメリカ、欧州、中国などの主要国が、「金融経済を重視し、中央銀行が金利や準備率を引き下げ、あるいは量的緩和に乗り出し、金融政策を拡大したものの、実体経済の政策(財政政策)を疎かにし、実体経済と金融経済の乖離が拡大する」という、人類がかつて経験したことがない問題が「調整局面」に入ったという話なのだと思います”

と綴り、これを機に10兆円規模の補正予算と、5%への消費減税を説いています

とはいえ、現実には消費減税はされないでしょう。
さらに、2017年4月には景気によらず消費税を10%に引き上げるという法案が通過しています。
7-9月期のGDPも二期連続のマイナスになることが予想され、いわゆる景気後退の兆しが見えるなか、不況下での増税という恐るべき自体が日本を待ち構えているのです
(かつて消費増税先送りをいち早く見抜いた長谷川幸洋氏は、“安倍政権「消費増税再見送り」で来年7月衆参ダブル選へ!”とにらんでいるようですが)

オリンピックもどうなることやら・・・。

安保法制審議への逆風に揺れる中、景気回復の気運に支えられてきた安倍政権は更なる難局を迎えているようです


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