最近、経済やビジネス関連のニュースで耳にすることも増えてきた「フィンテックという言葉。
先日の週刊「ダイヤモンド」誌上でも特集が組まれたように、今、最も注目を集めている分野ではないでしょうか。
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折りしも前回の記事で紹介したように、マイナス金利の導入にともなう銀行離れが、このブームを更に後押しするのでは?!という見方もあるようです。
そこで今回は、今さら聞けない「フィンテック」について、幾つかの講演会で仕入れた情報をもとに、初心者の皆様にも分かりやすく解説したいと思います。

まず、この「フィンテック(Fintech)」という言葉ですが、「金融(finance)」と「技術(technology)」を組み合わせた造語で、決済や融資、資産管理、マーケット取引といった従来の金融業務にITを駆使することで、新たなサービスを作りだす仕組を指しています。

身近なところでは電子マネーやクレジットカード決済、スマホを活用したモバイル決済やアプリ決済、ビットコインのような仮想通貨、家計・資産管理アプリ、会計・業務支援など様々な分野で、ITを用いた新しいサービスが生まれています。
特に、これまで金融機関が行ってきた融資取引については、融資を受けたい個人と融資を行いたい個人がインターネットを通じて手軽にマッチングできるようなサービス(“P2P取引”といいます)を展開するベンチャー企業も出てきました。
これには、2008年のリーマンショックの影響により、中小零細企業への貸し渋りが進む一方、資金を有している側もゼロ金利政策によって預金利息の収益が低下し、従来の金融取引ではお金を借りられない/お金を増やせないといった状況に陥ったことが背景としてあるようです。

さらに、2007年のiPhone発表に端を発するスマートフォンの普及とあいまって、近年、こうしたサービスを展開する企業への投資が加速し、株式市場においてもその関連銘柄がどんどん株価を上げました。
アメリカでは、「カベージ」(ビッグデータにもとづく零細企業への融資)、「プロスパー」(ネット上における個人間の貸し借り=P2P融資の仲介)、「アヴァント」(中低所得者向けローン)、「レンディングクラブ」(個人間の貸し借り仲介)、「スクエア」(中小零細企業でも手軽に導入できるスマホ決済システム)、「ソフィ」(データーに基づく学生ローン)、「ストライブ」(オンライン上の決済システム)といった、時価総額1000億円を超える新興企業(ユニコーン企業)が幾つも誕生しています。

こうした動きに対し、当初、金融機関は自身を介した取引の減少に直結し、聖域を脅かすものと大きな危機感を募らせていましたが、日本政府はフィンテックの台頭を高く評価しており、金融庁主導のもとで規制緩和を行って、金融機関がこうしたフィンテック関連企業への出資を行いやすくするよう制度を整えるように動いています。
これまで、銀行が事業会社に出資をする際は5%を上限とするよう銀行法に定められているのですが、この規制を大幅に緩和し、ベンチャー企業の買収や業務提携を促進する動きが出てきており、国内3大メガバンクも2015年夏にそれぞれフィンテック専門部署を設置しました。
地銀でも、再編に変わる収益強化のオプションとして、大きな期待を寄せているようです。

かくして世界的には2013年から、日本でも2014年から急激に資金調達を行っているフィンテック業界。
一方、年間1.5兆円の資金調達が行われるほどにまで加熱しているこのフィンテックブームについて、予算や資金調達ばかりが先行しているバブルではないかと、警鐘を鳴らす識者も少なくなりません


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