パラダイス文書の話題がトップニュースになり数週間。
話題は下火になっていますが、結局パラダイス文書では何が問題とされていたのか情報を整理してみました。

wikipediaによれば
パラダイス文書(パラダイスぶんしょ、paradise papers)は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と加盟報道機関によって2017年11月5日一斉に公表された、タックス・ヘイヴン取引に関する約1340万件の電子文書群である[1][2]
2016年の「パナマ文書」はセンセーショナルなものでした。
タックスヘイブン(租税回避地)への不透明な資金移動についての暴露は、世界中に波紋を呼びました。


パラダイス文書に記載されていたら「悪」なのか

ITmediaビジネスに興味深い記事を発見しました。
「パラダイス文書」がまったく盛り上がらない、残念な理由

パラダイス文書(パナマ文書もそうだが)について、根本的な疑問も出ている。

 タックスヘイブンの存在そのものについての議論である。というのも、今のところ、パラダイス文書で暴露されている人たちや企業などは、暴露文書を見ても、そこに違法行為はほとんどない。つまり、はっきりとした問題点が見えにくいのである。

租税回避は国家にとっては好ましくないものですが、一方で国外への投資や国境を越えたビジネスを推進する上では二重課税を防ぎスムーズな取引を推進する働きもあります。

パラダイス文書で暴露されている人や企業はほとんど違法行為が指摘されていないということ。
タックスヘイブンの存在や、国外へのスムーズな資金移動は問題点とは言えません。

たとえ英女王の個人資産が租税回避のために資金移動されていたとしても、「悪」とは言い難いのです。

パラダイス文書に名前が記載されていたとしても、それ以上の追求をすることは難しいということで国内の報道は落ち着き始めています。


さらにもう一点、パラダイス文書がどのように入手されたのかが焦点になると、上記の記事内で山田敏弘氏は指摘。

違法なハッキングなどによって非合法に入手された資料は、中身がどのようなものであれ、情報が恣意的に編集されている可能性を否定できません。

情報を入手した経路が不透明であれば、「その情報は誤っている」と躱されてしまいます。


租税回避と日本の今後

パナマ文書には伊藤忠や丸紅、ファーストリテイリングといった日本を代表する企業が記載されていました。
参考:東洋経済「パナマ文書」に載った日本人・企業の"事情"

東洋経済の上記記事によればタックスヘイブンには意外な使い道があるとのこと。

「対日情勢が悪化した際、日本企業だとバレるリスクを低減するため、タックスヘイブンに法人を設立する」というものです。

日系企業は過去幾度となく対日感情の悪化の影響を受けてきました。

そこで間に一度タックスヘイブンを挟むというのです。


実際のところ、日本には租税回避地を利用した過度の節税を防ぐ法律があります。

租税負担割合(実際の税負担水準)が20%未満の国や地域にある海外子会社の所得は、原則として親会社の所得と合算して申告する必要がある。

今回のパラダイス文書についても税務署の調査が行われると発表されています。

租税回避はバレるリスクを抱えています。

その際に追徴課税や企業イメージの悪化が懸念されるので、個人的にはそこまで旨味がないのではと思います。

日本政府としては第4次安倍政権が発足し、連日「税」のニュースが報道されていますね。
消費税増税が見込まれていますが、それに伴い育児負担の軽減や私立高校の教育費無償化へと舵を切っています。

税収を増やすために法人税を上げようとすれば、企業はあの手この手で租税回避の手段を講じます。

消費税は広く市民から徴収できますし、市民には租税回避の手段がありません。

国が税優遇をした結果、大企業は消費税増税には反対しない。
そんな構図が透けて見えるようです。


参考:消費増税、法人減税が格差を広げる?景気への効果薄く、大企業優遇といわれるワケ
参考:消費税収19兆のうち6兆が大企業に還付…消費税と法人税を「払わない」大企業、優遇の実態



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