非正規雇用の拡大を推し進めるのであれば、最低賃金はパートタイマーが余裕を持って暮らしていける水準まで持っていくべきだ。

今年度は最低賃金を全国加重平均で26円引き上げるべきだとの目安を、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会がまとめた。

引用:最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴


東京は985円で最高、最低額は鹿児島は761円。

非正規雇用者が増え、成人男性であっても時間給で働く人々の数が増えた。

時間給労働者は正規採用者と比較して年収が低い傾向にある。
企業経営の上で、非正規雇用者の賃金はコストカットの対象となり、賞与や手当もなく、昇給もほとんどない。




キャリアアップやスキルの習得という点でも不利で、非正規雇用者の高年齢化が日本の社会問題化している。
必要な自己投資や貯蓄をすることができないため、負のスパイラルに陥る。


年収と配偶者の有無には相関関係が見られ、一般的には年収が低いと結婚がしにくいとされる。
恋愛に回すだけの経済的余裕がないためだ。

首都圏の住宅コストは高騰しており、高い家賃を避けるために長時間通勤も慢性化。

恋愛ができない、子供を生んでも保育園に預けられない、教育費も高い。


結果として日本は世界史上類を見ない超高齢社会を迎え、労働力が不足し、世界的な競争力を失っている。


「高い人件費がネックとなり、世界的に競争力を持つ商品を作れない!」
と声高に叫ばれた時代を経て、日本の人件費はアジア諸国と比較しても高くない時代を迎えた。

人件費を削るために派遣社員や契約社員といった非正規雇用制度が活用されるようになって久しい。

物価の上昇が抑えられたため高品質の商品が超低価格で手に入るのが現代日本だ。


競争力のあるビジネスを追い求め、人への投資を削った結果が長引くデフレと超高齢社会という皮肉。


賃金を上げ、高付加価値の商品を開発しなければならない。
時給1000円すら払えない中小企業は今後倒産するのかもしれない。

しかしそれでは働いている人々が幸せになれないのだから倒産しても仕方ないのではないだろうか。


女性の貧困も問題になっているが、女性が一人でアルバイト生活をしていても十分に暮らしていける水準まで最低賃金を持っていくことができなければますます日本は競争力を失う。