年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

カテゴリ:講師著書紹介 > トマ・ピケティ『21世紀の資本』

3/28テレビ朝日「朝まで生テレビ」ではピケティブームを受けて、「貧困・格差・不平等」が取り上げられました。
森永卓郎氏、岸博幸氏、飯田泰之氏などの論客とともに、ホリエモンこと堀江貴文氏が出演。
青年会議所を始め、企業の講演会などにも出演されているようですね。
番組でも随所でホリエモン節を炸裂させていました
ホリエモン 朝生

その中で堀江氏は、そもそも「格差」自体は何の問題もないと主張します。
むしろ全体の1%の富裕層に富が集まることは大歓迎で、賢いファンド等がしかるべき投資を行うことで可能になる事業が沢山あり、それによって社会が発展していくことが多いのだと見ています(富が愚かな政治家や官僚に集まってしまえば、ろくでもないことに使われる)。
さらに、そうして技術が発展すれば、衣食住の面で、金はなくても便利な暮らしを享受できるような社会になっていくとのこと。

そこから司会の田原総一朗氏は、問題は格差なのではなく、貧困層の増大だと指摘。
そして議論は、正規/非正規雇用の問題、一人親世帯の貧困率(平均年収の半分以下の率)の高さ、貧困世帯の子供の問題に話が及びます。

有名大学への進学率が親の年収により左右されるという「不平等」を指摘する声に対し、堀江貴文氏は、今では無償化により高校まではある程度の負担で進学できることを踏まえつつ、学ぶのにも、わざわざ高い授業料の大学になんかいく必要はないと言い切ります。
ただし、子どもは社会で育ててあげる必要があり、その教育機会を増やしてあげる必要がある以上、ネットなどを通じて、グローバル化・多様化にも対応しうる「知」に自分でアクセスできるような教育を中学までにしてあげるべきだと

年収が低いから、非正規雇用だから結婚できないというのは単にプライドの問題。
家がなくても、結婚できなくても、生きていける。稼げる稼げないは、工夫次第。
金のない奴が富を得るには「r」(株式等の資本による収益)に張るしかなく、そのための資金を得るにはベンチャーしかない。大企業になんか行かずに、ベンチャーに行けばいい。

このように番組を通じてあふれる堀江貴文氏の考えの根底にあるのは、必要最低限の暮らしでも十分に生きていけるという覚悟にも似た達観と、競争社会にあっては良くも悪くも己の才覚一つによっていかようにも道は決められるというネオ・リベラルな自己責任の原理のように思えます。。。


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1983年の名著『構造と力』によって難解な現代西洋哲学をあっさりとチャート化し、「スキゾ」や「パラノ」といった流行語を生み出すなど、かつて“ニューアカブーム”の旗手と評された浅田彰氏。
京都大学経済学部で教鞭を取りながら、音楽や文学、映画、絵画、舞踊、建築といったありとあらゆる芸術を横断し、行く先々で各分野の専門家顔負けの鮮やかな批評を展開されてこられた姿はまさに天才そのもの。現在は京都造形芸術大学に籍を移し、その活躍の場を広げられています。

その浅田彰氏が、媒体を変えながらも長らく続けておられるのが田中康夫氏との雑誌対談『憂国呆談』です。今も「ソトコト」誌上で、毎月、政治経済・社会・芸術文化など様々な時事問題について縦横無尽にお二人で語られていて、とても楽しみにしています。
最新号ではシャルリー・エブド襲撃事件から、イスラム国の問題、そして話題のピケティ『21世紀の資本』について触れられていて興味深いので、ご紹介させていただきますね。
憂国呆談

対談ではまず、フランスについて浅田彰氏が「『他者に開かれた多文化社会』を目指しつつ、実際は移民を嫌な仕事のための安い労働力として使い、ゲットー的な地区に隔離してきたんで、テロの背景にもその矛盾があるし、国民戦線もそういう多文化主義の偽善を批判して大衆の支持をあつめている」と指摘。
それを受けて田中康夫氏は、「話しても完璧には分かり合えない存在だからこそ会話する価値が、恋愛でも家族でも職場でも生まれるように、それこそが政治や外交の折衝。なのに、最近では洋の東西を問わず、問答無用の思考停止状態な指導者が持てはやされる。それと同じ単純思考のベクトル上に、移民排斥運動が増えてきている」との見解を述べられています。

続いて、日本の移民政策についても、年間20万人ずつ移民を受けれることで50年後にも1億人程度の安定的な人口構造を保持できるとする政府見解に対し、田中康夫氏は「移民に賛成反対の二元論ではなく、1億人でいくのか6000万人程度の日本でいくのか、その選択肢も、さらには、超少子・超高齢の日本において働き手をどうするのかも国民に示さずに、大本営発表が既成事実化していく」と警鐘を鳴らし、浅田彰氏も「移民を受け入れざるをえない局面はあるし、移民を排除することはないけれど、そもそも1億人を保持するって目標が間違ってる」と応えていました。

そして、ピケティの『21世紀の資本』に対するお二人の見解が述べられるのですが、以下に引用させていただきます。


浅田 イスラムをめぐる宗教戦争も実際はグローバル資本主義とそれに乗り遅れた人々の闘争なんで、政治経済学的な分析が不可欠。フランスのトマ・ピケティの『21世紀の資本(論)』が世界的なベストセラーになったのも不思議じゃない。ただ、原書が出たとき読んで、このタイトルはまったくの誇大広告だとわかった。マルクスが『資本(論)』で資本主義のメカニズムを原理論的に解き明かし、資本主義を乗り越える方向を示したのに対し、ピケティの『21世紀の資本(論)』は、資本主義下で(戦争の時期を除き)格差が拡大する傾向にあることを統計から現象論的に実証し、税制によるその是正を提案するだけ。その程度の本を『資本(論)』と題してベストセラーにするなんて、ウエルベック(*)なみのあざといメディア戦略だよ(苦笑)。
*:くしくもシャルリー・エブド襲撃事件の日に、政治家の実名を散りばめながら、フランスにイスラム系の大統領が誕生するという筋立ての近未来小説『服従』を発表した人気作家

田中 「貧富の統計」をああいうかたちで可視化した経済学者がいなかっただけで、新しい何かを見出したわけではないからね。レジオドール勲章を辞退したのもスゴイと話題になっているけど、愉快犯みたいなもの。自分はオランドを支持していたけど、今は違うので彼から受け取りたくないってだけだ。オバマを支持していたハリウッド俳優が最近の彼はダメだと怒っているのと同じような類い。

浅田
 日本でも遅まきながら邦訳が出て、ピケティが宣伝のため2月に来日するらしい。対談しないかって言われたけど、とくに興味ないな。 

田中 監訳が山形浩生(*)ですから。
*:誤った認識のもとに誰かの言説を批判しては事後に誤りを認めざるをえなくなり、謝罪することの多い人で、浅田彰氏にも絡んだことがありました・・・


浅田氏といえば、京都大学大学院在学中に書かれた『構造と力』の前文で、マルクスの資本論なんて「どう見ても寝転がって読むようにできている と涼やかに言ってのけた御方。
ただ、裏を返せばそれくらい、マルクスの『資本論』は重要な書物ということ。

浅田氏はピケティと同じフランス人の中でも、特にミシェル・フーコーやロラン・バルト、ジル・ドゥルーズやジャック・デリダといった名だたる知の巨人たちの思想に触れてこられた方なので、『21世紀の資本』には、資本主義の限界を乗り越える方向性が何ら示されていないことに物足りなさを感じておられるようです。
氏や氏のように、そうしたピケティの姿勢をある種の「謙虚さ」として受け止めることはできるかもしれませんが、格差拡大に対する処方が累進性の資産課税の世界的導入という提言に終わってしまうところはやはり、ピケティの限界と言えるのではないでしょうか。

このように、浅田彰氏は様々なトークイベントで刺激的な発言をされておられます。
田中康夫氏も講演依頼サイトに登録をされているようなので、ぜひ聞いてみたいと思っているのですが、なかなか機会がありません(´・ω・`)

田中氏はかねてより、「日本の株式会社の7割、連結決算を導入する大企業の66%が国税の法人税と地方税の法人事業税を1円も納付していない」という税制の現状を批判されていますので、また次回にご紹介させていただきますね


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前回を踏まえ、今回はいよいよ竹中平蔵氏のピケティ評をご紹介いたします!

ダイヤモンド誌の記事の中で竹中氏はまず、「ピケティの議論は精緻ですが、資本収益率も、資本が積み上がればどこかでサチュレート(飽和)する。 単純に増えていくことはないんじゃないですか。 ただピケティは、今、世界で起きている問題について、非常に重大な警鐘を鳴らしています。 世界でグロー バル化が進み、新たなフロンティアが生じていますが、そこに入れるかどうかで、絶望的な格差が生じている」とした上で、『21世紀の資本』への支持率は70%と答えています。

さらに、日本でも規制緩和に取り組んで1人当たりのGDPを引き上げる必要があり、同時に政府は貧困の実態調査に乗り出すべきとのこと。
そして、とりわけ30代における格差が深刻であるとして、以下のように述べられています。
ちょっと長いのですが、引用しますね。

「格差を考える上で重要なのが30代です。消費税増税後、GDPもマイナスになりましたが、中でも30代の消費マインドが大きく落ちている。就職氷河期を経てきた彼らの多くは、自身が望んだ仕事に就けず、技能も育っていないし、所得も低い人が多い。
 要因の一つは、正規と非正規社員の格差です。今、非正規の割合が年々増加している。これは競争ではなく、制度によって生まれた格差です。だから、正規も非正規も同一条件にすればいい。オランダはそれを実現しました。
 なぜ日本でできないのか。一部の大企業の正社員が守られすぎているからなんですね。彼らの労働組合の組織率は2割を切っているのに、労働者の代表として政府と政策の議論をしている。既得権者たちが今の制度を守っているのです」


ここで竹中氏は、非正規社員の待遇改善というよりも正規社員の待遇改悪を指向しているようです。
前回もご紹介したように、人材派遣大手・パソナグループの取締役会長でもある竹中氏は、派遣法の規制緩和を推進しています。主婦を中心とする女性や高齢者、障害者の労働のありかたについて多様性を掲げつつ、非正規社員への間口を広げる考えです。

もちろん、かつて藻谷浩介氏が『デフレの正体』で説いたように、日本では少子化・高齢化にともなう生産年齢人口の減少が内需の縮小につながっている以上、子持ちの主婦層がある程度自由に働ける環境を整えることで、消費やGDPは改善されるはず。
一方で、正規社員の待遇を下げ、若者を中心として安定に欠く非正規社員が増えてしまえば、たとえ主婦がパートで働きやすくなったとしても、経済的に安心して子どもを産み育てられる家庭環境が整わず、少子化は加速するに違いありません!

ピケティが『21世紀の資本』で明らかにしたのは、経済成長率が低い時こそ、資本家が投資等によって得る収益率の割合が増えるということ。日本でも最富裕層の10%が国民所得の実に4割を占めており、竹中氏が熱心に説いている上記のような政策は、ピケティのいう格差縮小や富の再分配に対する根本的な解決にはなりません。

トリクルダウン理論によって注がれた富は大企業や投資家といった富裕層が存分に享受しており、下層へ滴り落ちるどころかむしろ、海外の投資家へ吸い取られる一方です。
こうして最富裕層の富は蓄えられ、むしろ増え続ける中で、残ったカスカスの富を、下層においてのみ平均化するといった方向に進んでいるように思えてしまいます。

社会保障費確保のために消費増税が実施された一方、いつの間にやら2015年度の軍事費が過去最高の5兆円 となりました。安倍首相は衣の下の鎧が丸見えの状態で、自衛隊内部からは文官統制を廃止する法案作成の危険な動きも見られる中、貧困者の就職先として、自衛隊が大きな選択肢にならないような社会を切に望みます。

さて、なるべく中立な立場から始めようとした本ブログですが、このところどうしても現政権に対する疑問を書き連ねてしまいがちなので、「利益相反」といわれないように気をつけて参りますね


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 <↓パソナ会長の肩書きは出さない所がポイントなんでしょうか・・・>
竹中平蔵 ピケティ

これまで氏、氏、氏がそれぞれピケティ『21世紀の資本』をどのように受け止めているかをお伝えしてきましたが、これから2回に渡り、同じくダイヤモンド誌のピケティ特集から竹中平蔵氏のコメントを紹介いたします!

そこで今回はまず、竹中氏をめぐる様々な背景を整理しようと思います。

竹中平蔵氏といえば、かつて小泉政権時代に竹中プランと称される不良債権処理を推し進め、構造改革の陣頭指揮をとったことで有名ですが、その流れを汲む現安倍政権下でも、産業競争力会議や国家戦略特別区域諮問会議のメンバーに名を連ね、アベノミクスの一翼を担っています。
今や経済関連の講演会講師としては、最も“大物”といえるのではないでしょうか。
慶應義塾大学の総合政策学部等で教鞭をとるほか、人材派遣大手・パソナグループの取締役会長を務めていることもよく知られていますね。

民間の人材派遣会社の現会長が、雇用期間制限をはじめとする派遣法の規制緩和や、労働移動支援助成金の引き上げ(従業員の転職・再就職支援に協力する企業への補助金を増やすという点で、間接的な正社員のリストラ促進策とも見られています。従来は従業員の転職が成功した場合にのみ企業へ40万円が支給されていましたが、この上限を60万円に引き上げるとともに、転職できない場合でもその転職先探しを人材サービスなどの再就職支援会社に依頼するだけで10万円の補助金が出るようになり、人材サービス会社が潤うことになりました)など、国の雇用政策の意思決定に関与しているという実情については、「利益誘導」「利益相反」(中立の立場を超えて一方の利益を犠牲にし、もう一方の利益につながるよう便宜を図ること)との批判も多いようです。

もちろん本人はあくまで有識者として会議に参加していると、この「利益相反」を否定していますが、
例えば第4回産業競争力会議において、「労働移動型の解雇ルールへのシフトは大変重要。判例に委ねられているのは、ルールとして不明確であり、明文化すべき。金銭解決を含む手続きの明確化することが必須である。早急に議論を煮詰めていくことが必要である。雇用調整助成金を大幅に縮小して、労働移動に助成金を出すことは大変重要。是非大規模にやって欲しい。今は、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が1000:5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている。」と発言し、実際に上記の労働移動支援助成金が2億円から300億円にまで一挙に引き上げられたことで、再就職を支援する人材サービス会社へ巨額の税金が流れたという経緯があります。

ネットでも三橋貴明氏とのバトルが話題となりました。

また、パソナといえば、記憶に新しいASKAさんの事件でも浮き彫りになった政官接待のゴニョゴニョゴニョ・・・ ゴニョゴニョゴニョ・・・

そんな竹中平蔵氏は、ピケティの説く格差拡大についてどのように見ているのでしょうか。

また、ピケティが池上彰氏とのインタビューでも語っていたように、「日本では労働市場の仕組みが若い人に厳しい。パートや非正規の人が増えており、待遇が良くない。日本でも、欧州でも、若い人に希望を与える政策をとることが重要です」といった若者の雇用のあり方について、常々「正社員が守られすぎている」と説いてきた竹中氏がどのような意見をお持ちなのか、気になりますよね。


どうも現政権の政策は、格差の上でボトムアップをはかるというよりも、中間層を叩き落すような方向に進んでいるような気がしてならないのですが、ここまででかなり長くなってしまいましたので、竹中氏のピケティに関するコメント詳細は次回に改めさせて頂きます!
I'll be back soon


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ピケティ『21世紀の資本』については、講演会でもおなじみの様々な評論家・アナリストの方々が発言されておられるようですね。
これまで紹介して来た「週刊ダイヤモンド」のピケティ特集の中でも、
作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏が鋭い分析をされていました。

佐藤氏はピケティついて、「自由だ平等だといわれながら、実は一定の大金持ち、投資銀行のディーラーなんかがもうけている構造を解明したいという正義感があったのだと思います」としながら、以下のように述べています。

この著者への私の支持率は90%。過度な数学を使って読者の目をくらます現在主流の経済学を用いず、読者の検証可能なデータを使って論じた点は、知識人として誠実です。論理の飛躍や幻惑もありません。
ではなぜ100%ではないのか。それは、国家に対する認識が甘すぎるから。国家が個人の資産に手を付けるようになれば、必ず暴走すると思います。国家による経済統制は、国家資本主義や国家社会主義に近い。非常に窮屈な世の中になりますよ。
それに資産課税を強化すれば、本当の超富裕層は、あらゆる手段を使って資産を隠したり、キャプタルフライトしたりする。
そもそも、ものすごい金持ちというのは、国家と仲がいいんです。ロックフェラー3世の本に、富を維持するためには、大衆にねたまれないように寄付をしろ、国家にできない外交をしろと書いてある。
つまり、国家と超富裕層は持ちつ持たれつの関係です。政府もここには手を突っ込めない。ピケティのような議論がいずれ出てくることを想定して、富裕層はすでに手を打っているわけです

情報の裏を読むプロ中のプロならではの分析ですね
前にご本人がどこかで語ってらしたのですが、何でも佐藤優氏は原則として講演は無償で行っていらっしゃるのだとか。
作家はあくまで書くことが生業であって、講演会で講師として多額の謝金を受け取っていくあまり書くことがおろそかになってしまった作家を沢山知っているからだそうです。
新党大地の勉強会(?)でお話になっているのを聞いたことが有りますが、講演会では時事問題(スノーデン事件の頃でした・・・)について、その背景から問題の本質、今後の展望まで非常に分かりやすく解説していただけます。
数多くの雑誌連載を持ち、執筆を重ね、圧倒的な読書量を保ちつつ、新聞を初めとする情報収集にも余念ない佐藤優氏の恐るべき仕事術は、「東洋経済」誌上で紹介されています

( ↓ 佐藤優著 『いま生きる「資本論」』)

佐藤優

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