年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

カテゴリ:講師著書紹介 > トマ・ピケティ『21世紀の資本』

前回もご紹介した「週刊ダイヤモンド」のピケティ特集で、池上彰氏がインタビューを行っています。
池上氏はそのインタビューの成果として「若い人と民主主義のために書かれた本だと確認できた、これが最大の収穫です」と述べられています。

気になるアベノミクスの政策については以下のようなやり取りがありました。

池上:アベノミクスでは金融緩和によって実質金利をさらに引き下げることで何とか経済を良くしようとしていますが、これをどう評価しますか?

ピケティ:もしお札を刷ってさらにマネーの供給を増やすと、資産価値のバブルを引き起こしやすくなる。株価を押し上げることにはなりますが、格差が広がる恐れがある。はっきりと有効かどうかを答える自信は有りませんが、いずれにしても税制を変えるより手軽という意味で短絡的な手法だと感じています。

ピケティは富の最分配を促すべく資産に応じた累進課税の重要性を説いており、消費税については「あまり当てにすべきではない。消費税は累進性がなく、低所得層にしわ寄せがいきます。もともと貯蓄の少ない層に税をかけることで消費を抑えかねません。あまり、良い税ではないですね」とも断じています。

そしてこのインタビューは以下のように結ばれています。

池上:これまでお話を伺ってきましたが、本当に若い人たちのことを考えているのですね。

ピケティ:日本でも欧州でも、理由は違いますが、若い人の方が親の世代に比べて生きるのが難しくなっています。欧州では若い人だちの失業率が高く、これが社会に緊張感をもたらしています。日本は労働市場の仕組みが若い人に厳しい。パートや非正規の人が増えており、待遇も良くない。日本でも欧州でも、若い人たちに希望を与える政策を取ることが重要です。

池上:まさにこの本が民主主義の本であることを確認できました。今日はこれが収穫です。ありがとうございました。

全てを踏まえ、池上氏によるピケティ『21世紀の資本』の支持率は80%とのこと。

一方で、『構造と力』の浅田彰氏が指摘するように、「マルクスが『資本(論)』で資本主義のメカニズムを原理論的に説き明かし、資本主義を乗り越える方向を示したのに対し、ピケティの『21世紀の資本(論)』は、資本主義下で(戦争の時期を除き)格差が拡大する傾向にあることを統計から現象論的に実証し、税制によるその是正を提案するだけ」(憂国呆談という部分は否めません。
ピケティを英雄のようにもてはやす必要はなく、彼が警鐘を鳴らす格差拡大の課題に対し、それを解消する具体的な政策こそが求められているのだと思います

池上彰 ピケティインタビュー

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今週号の「週刊ダイヤモンド」は満を持してピケティを特集しています。
池上彰氏や佐藤優氏、前回の記事でとりあげた森永卓郎氏などが、
ピケティへの支持率(その主張が正しいと思う割合?)が何%かを述べていて面白いです。
ピケティ

池上彰氏によるピケティ『21世紀の資本』の重要なポイントは以下の3点。

①おかしい!という一般大衆の思いを見事に説明してくれる。
アベノミクスの範ともいえるレーガン政権(レーガノミクス)以来、
アメリカでは「トリクルダウン」(まず富裕層を豊かにすれば、その富はおのずと庶民へ滴り落ちるという考え方)が信じられてきました。しかし、現実は決してそうはならず、最富裕層1%が国全体の所得の20%を占める状況になってしまったのです。
2011年にアメリカの若者たちが起こしたウォール街占拠デモに象徴されるように、「おかしい!」という大衆の漠たる思いを経済学の観点から理論的に支えてくれる本として、ピケティが支持されているのです。

②理論のマルクスとデーターのピケティには意外な共通点がある。

経済学を代表する固有名をあげるとすれば何を措いても『資本論』のマルクスですよね。
資本主義への危機感に呼応して生まれた共産主義の礎となったマルクスですが、
その根底には、当時あまりにも政治的になっていた経済学への批判がありました。
そしてピケティも、数学化して社会の実態とかけ離れてしまった経済学への批判を出発点に、
むしろ今こそ政治経済学を復権させるべきとの思いを抱いています。

③「r」(資本収益率)は「g」(経済成長率)より大という目から鱗 理論より行動を促す

ピケティのチームは税務当局の納税記録に着目し、世界20カ国以上のデーターを過去200年以上にわたって収集するとともに、その分析手法を世界に公開しました。
池上氏はピケティの「r>g」という不等式について、以下のように要約しています。

「資本収益率とは株や不動産などあらゆる資本から生み出された平均収益率。18世紀以降はおおよそ4~5%で推移してきました。一方、国民所得の伸びを示す経済成長率は長期的には1~2%にとどまる。資本によって得られる収益は、働く人の賃金の伸びを上回り、格差が自然と広がっていくことを明らかにしたのです」


そして、かつての経済学者なら、なぜ「r>g」となってしまうのかについて精緻な理論を組み立てようとするところ、ピケティは「その理由は分からない」とした上で、議論と行動を促しているところが特徴的だと見ています。

ピケティについて池上氏は記事の中で、「私の『21世紀の資本』に対する支持率は80%でしょうか。データや歴史分析の知見を使い、世の中を良くしていこうよ、さぁここからは格差を減らすための行動をしなければなりませんよ、という彼のメッセージをきちんと受け止めるべきだと思います」と締めくくっています。

これだけ世間の話題を集めているトピックだけに、『21世紀の資本』については、池上さんの講演会でも分かりやすく解説してくれると思いますよ



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先日の来日の模様が様々なメディアで取り上げられたトマ・ピケティ
講演やインタビューの中で、フランス語なまりの英語を駆使して格差拡大に警鐘を鳴らす姿はすっかりおなじみとなりました。
前回の記事では森永卓郎氏に解説して欲しいと書いて結んだのですが、
森永氏がピケティについてラジオで語っている音声がYoutubeに上がっていました。

<森永卓郎×阿川佐和子×大竹まこと:ピケティの経済理論と格差拡大>



森永氏によると、ピケティの主張は「8割」ほど正しく、その業績は素晴らしいとのこと。
森永氏もかつて研究機関で格差の研究に携わった際に、1年かけて様々な賃金格差をデーター化して分析する作業に当たられたことがあるそうなのですが、日本の30~40年間分のデーターを取るのに地獄を見たそうです。

しかしピケティは、まだ若いにもかかわらず、過去200年間のデーターを丹念に追っています。
当然、昔にさかのぼるほど作業は困難を極めるわけですが、ピケティはそれを一国にとどまらず世界20カ国を超える規模で行っており、その根性と努力には頭が下がると森永氏は評価されていました。
森永氏の若い頃は、「格差」というと上司と部下など労働者間の問題と捉えがちだったそうですが、ピケティはそれを労働者と資本家間の問題であると見抜き、労働者の範疇の外部で、金を金で動かしている人がいることに気づいたのでした。

ピケティの理論は、資本家が株や不動産や債権等の利ざやによって得る富の資本収益率は、常に経済成長率を上回る(r>g)というものです。
例外として資産価値が暴落した世界恐慌から高度経済成長期の間だけこの数式は逆転したのですが、サラリーマンの給料はせいぜい経済成長率分しか上がらないわけで、資本の収益率(4~5%)が経済成長率を上回れば当然格差は開いていくというごくシンプルな図式です。
もちろん経済成長率が高い状態が続けば格差は縮小しますが、人口も減り、途上国の発展もやがては鈍化する以上、それは現実的でありません。

そこで、資産に応じて課税を強める累進課税の資産税を導入しよう、というのがピケティの提言です。ただし、単独の国でそれをやると税率の低い国(タックスヘイブン)へ富裕層が流れるので、世界中でそれをやろうと主張しています。ピケティは「8割」正しいと森永氏が言うのはまさにこの部分で、この結論は現実的ではありませんよね。。。

森永卓郎氏は、ピケティの取った200年のデーターを見ると、世界恐慌による資産の暴落よって一時的に資本収益率が下がっているものの、全体の200年では資産の収益率は安定しており、成長率だけが上下している点に着目します。
そして、なぜそういう事態がおきているのか? その分析が行われていないと指摘しています。
(ちなみに、森永氏の仮説では、金持ちはお金中毒で、景気が良くても悪くても必ず一定率で資産を増やそうとし、経済成長率が低いとき=全体のパイが少ないときにも取り分を増やすために庶民の取り分が落ちるのだそう)

ピケティの説く累進課税については、勤労意欲をそぐもので経済を活性化させないとの批判が有りますが、これに対し森永氏は、活性化すべきは庶民なのであって、資産家ではないから問題ないと話されていました。

また、金持ちはお金中毒なので一旦逮捕して更正させるといい、とも

最後に森永氏は、ピケティの本は13万部売れているのに対し、最近の森永氏の本は3000部しか売れない。これが本当の格差社会だと嘆いておられましたとさ...
 
たった10分程の時間でこんなに面白いお話をしていただけるのですから、やはり森永卓郎氏の90分の講演はますます楽しみですね


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今、最も注目を集めている新進気鋭の経済学者トマ・ピケティ
15年の歳月を費やして上梓した21世紀の資本が世界中でベストセラーとなり、難解な経済書でありながら、日本でも10万部を超える大ヒットを記録しています。
そのピケティが、なんと、来日しているのです!!
ピケティ

1/29 シンポジウム「広がる不平等と日本のあした」
1/30 討論会「格差・税制・経済成長――『21世紀の資本』の射程を問う」
 2/1 トマ・ピケティ 東大講義「21世紀の資本」

以上のイベントに講師として出演し、講演を行う模様です。
行きたい! でも仕事で行けない!!
でもでも、1/29-30のシンポジウムと討論会はニコ生で放送されるそうです。。。

でもでもでも! 分厚くて難しい本を読む時間もなければ、
きっと難しい経済の講演をニコ生でずっと見続けられる自信もない、
NHKで6回に渡って放送される「パリ白熱教室」は、
1/30今日の放送ですでに4回目、、、1~3回目も見逃した、、、という方も多いでしょう。
というわけで、今回はトマ・ピケティ『21世紀の資本』のエッセンスをお伝えします!!

この本に書かれていることは、いかに富の格差が広がっているか、という問題です。
ピケティはアメリカにおいて、1割の富裕層が国民総所得の50%を占有していると指摘。
貧富の格差が第二次世界大戦前の水準よりも拡大していることを看破しました。
周知の通り、戦前は資本階級と労働者階級間の格差は歴然としていましたが、
戦後は富裕層への課税強化によって格差は徐々に縮小していきます。
しかし、1970年代以降の自由化の波により、特に先進国において格差は再び拡大を見せます。

つい最近も世界の最富裕層1%が世界の富の50%を支配するというショッキングなニュースが報じられましたが、なぜこのような事態が起こるのでしょう?
それは金が金を生む世の中の仕組みが出来上がっているからにほかなりません。
これをピケティは「r > g」という式で表しました。
『21世紀の資本』の要とも言える一節を引用します。

「株や不動産、債権などへの投資による資本収益率(r)は、経済成長率(g)をつねに上回るという歴史的事実があり、『r > g』が根本的な力となって、一度縮まった所得間格差は再び19世紀以前の水準まで戻るだろう」

要するに、せっせと働いて得られる労働による収入よりも、富裕層が「株や不動産、債権」といった資産の一部を再利用して得られる利ざやの方がはるかに大きいというのです…
19世紀以前の社会では、貴族たちが地主として得られる不労収入によって悠々自適な生活を送る一方、領民たちはあくせく働いて食うや食わずやの生活を送っていたのでした。
今後は世界の経済成長率が鈍化するのは目に見えており、このままいけば、富裕層の蓄えている富が生む資本収益率はますます割合を増やしていくことでしょう。

そして待ち受けているのは、19世紀的な世襲の世界――
親から財産を受け継ぐその時点で階級が決定し、個人の能力の及ばない圧倒的な格差によって生涯得られる富が多方決まってしまうのです。
しかも先進国では少子化によって一人当たりの子どもが親から受け継ぐ富も大きくなるので、子の世代ではますます格差は広がると見られています。

でも、国の政治を動かすのは、エリート層。
トリクルダウンという怪しげな理論に基づいて為替を操作し、株価を釣り上げ、資産バブルを誘発するアベノミクスの恩恵は、富裕層にこそより大きく与えられているのだということが分かります。

一律で課税される消費税なんかより富裕層への課税を強める累進課税の必要性を説くピケティ。
彼が経済界に投じた一石は世界各地で波紋を呼んでおり、賛否両論沸き起こっています。
とはいえ『21世紀の資本』は専門的な用語も多くてやはり素人には難しいというのも事実。
今後も議論が活発に行われるであろう同書をわかりやすく解説してくれる講演会はどこかでないでしょうかね~。
やっぱり、格差批判といえば森永卓郎さんあたりに期待したいと思います


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