今回は少し趣向を変えて、マーケティングのお話を扱いたいと思います。
昨年10月に日本で行われたワールドマーケティングサミット2014で、
マーケティングの大家・コトラーが新たな理論を提唱しました。
ワールド・マーケティング・サ

ワールドマーケティングフォーラムは、世界ではまだ生産ありきのマーケティングによって失敗を見る企業があまりにも多いことから、少しでもマーケッターの意識を高めるためにとコトラーが主催する会で、第三回目となる昨年と、第四回目となる今年は日本で開催されることになりました。
(昨年、本来はタイで行われる予定であったものが、政情不安により日本で代替開催されています)

アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー(1931~ )は、代表的著作『マーケティング・マネジメント』等により、マーケティングについて体系的にまとめあげました。
性別・年齢・地域など市場の様々な分類を推し進め(セグメンテーション)、そこから狙いを定めるべきターゲットを設定し、自社製品やサービスの位置づけを行うプロセスは、今やマーケティングの王道となっています。
そのコトラーはこれまで、マーケティング理論を以下のように発展させてきました。

1.0 製品中心(Mind)
 ↓
2.0 消費者思考(Heart)
 ↓
3.0 価値主導(Sprit)


そして、今回、「マーケティング4.0」として新たに打ち出したのは、
「自己実現」(Self-Actualization)です

かつて、まず製品ありきで、自分たちの製品こそ最高であるという認識のもと、それをいかに売るかを使命としていた時代(マーケティング1.0)から、
顧客の視点に立って、消費者のニーズに沿った製品を作る時代へ移り(マーケティング2.0)、
さらに、CSR(企業の社会的責任)が問われて久しい昨今、地球環境への配慮等の社会貢献により一層のブランド価値を生み出す段階(マーケティング3.0)となり、
コトラーはいよいよ消費者の「自己実現欲求」にかなう価値を提供すべき時が来ていると見ています(マーケティング4.0)。

コトラーは上記のフォーラムの基調講演で以下のように述べました。

「では、マーケティング4.0とは何なのでしょうか?
 人々の中では“自己実現”という欲求が高まっています。
 自分が人間としてなりたいもにものになりたい、
 そして自分が何者かと示せるようになりたいことがこの欲求です。

 マズローが唱えている“自己実現”というのが、まさにマーケティング4.0なのです」


マズロー

アメリカの心理学者・マズロー(1908-1970)の「欲求5段階説」といえば、人間の欲求を、生理的欲求⇒安全の欲求⇒社会的欲求⇒自我尊厳の欲求⇒自己実現の欲求 の五段階に分類したもの。後者になるほど、より精神的で高次の欲求となって行きます(上図)。

そして、この欲求の段階に応じ、企業が消費者に提供すべき価値やサービスは変わるはず。
当然ながら、物品に事欠く後進国と、衣食住に事足りた先進国では、マーケットのニーズもおのずと異なってきますよね。

先進国を中心に、顧客の満足のレベルは上がってきています。
その中で、顧客の潜在的な需要まで掘り起こしながら、新たな価値を作り続けることがマーケティングの役目。
こういう風に生きたい、そのためにこういう風に自分をデザインしたい、そうした消費者の欲求にかなう価値の提供が、これからの時代のポイントになるというのです。

自己実現
というのは何も若者に限った話ではなく、高齢者にとっても、リタイア後の人生を意に沿うようにデザインしたいという欲求は強いはず。
例えば、その助けとなるようなサービスを展開することは、これから超高齢化社会に突入する日本にとっても、重要な視点と言えるのかもしれません。

経済動向を踏まえ、企業の有り方を説くマーケティングは、ビジネス経済系の講演会でも人気のテーマの一つ。
上記のコトラーのみならず、講師派遣サイトには多数の講師が登録されていますので、お近くで無料のセミナーなどがあれば、ぜひ足を運んでみて下さい。
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マーケティング 講演