「働き方改革」が流行語大賞2017にノミネートされました。
働き方についての議論が大きなうねりとなり、残業の削減や生産性の向上という意識が根付きつつあります。
振り返ってみれば働き方改革を語るうえで小売業界への言及はあまりなされて来なかったように思います。
所謂「スーツにネクタイの男性会社員」をターゲットとした議論・制度案であったのではないでしょうか。
小売・外食産業では営業時間外の「売り逃し=機会損失」を避けるために長時間営業(労働)が常態化しています。
サービス残業やみなし残業制の「活用」で一人当たりの労働コストを極限まで下げた結果が、今の日本経済を端的に示しています。
世界的な株高・好景気の後押しもあり、労働時間の短縮がやっと「当たり前」のこととして認知されるようになりました。
2017年を象徴する言葉の一つ、働き方改革。
そこで営業時間の短縮について実施・検討している企業についてざっと調査してみました。
営業時間短縮の大手
◆ロイヤルホスト ロイヤルホールディングス→24時間営業の廃止、2018年1月1日を店休日に、その他5月と11月にも休みの日を設け、年間で合わせて3日間の休業日を設ける
◆カウボーイ家族 ロイヤルホールディングス
◆天丼 てんや ロイヤルホールディングス
→元日を店休日にするなど
◆ガスト すかいらーく
◆ジョナサン すかいらーく
→24時間営業の店舗を大幅に減少
◆マクドナルド 日本マクドナルド
→24時間営業の店舗を減少
◆モスバーガー
→一部店舗の開店時間を1~2時間遅らせる
◆ファミリーマート
→営業時間短縮の実験を数店舗で開始
◆三越伊勢丹
→2016年から元日と1月2日を休みに。今後3日も店休日にすることを検討
◆ヤマト運輸
→受付締め切りを1時間短縮。
参考:nikkei style 店の営業時間なぜ短縮? 需要に変化、人手不足も重荷
参考:流通ニュース ファミリーマート/24時間営業を見直し、数店で営業時間短縮の実験
参考:朝日新聞デジタル モスバーガー、50店が営業時間短縮へ 人手不足が深刻
参考:ASCII ヤマト運輸、再配達受付時間を短縮・昼間の時間指定廃止
参考:朝日新聞デジタル モスバーガー、50店が営業時間短縮へ 人手不足が深刻
参考:ASCII ヤマト運輸、再配達受付時間を短縮・昼間の時間指定廃止
これだけの企業が営業時間短縮に踏み出しています。
もちろん、検証の結果如何ではまた元に戻すこともあるのでしょうが、検証を実行に移したことが大きな一歩と言えるのではないでしょうか。
どうなる?働き方改革と営業時間短縮
働き方改革のゴールはどこなのでしょうか。従業員の満足度の向上でしょうか?
いえ、違います。
「短い時間で最大の利益を上げること」です。
つまり「短い営業時間でも儲かるような仕組みを作ること」。
営業時間が短くなった結果、儲からなくなってしまっては意味がないからです。
あまりに安さを追求する、消費者としての日本国民の姿勢も浮き彫りになっています。
ちなみにロイヤルホストは営業時間の短縮で売上が伸びたとのことです。
参考:営業時間短縮でも売上高アップ
即ち、深夜営業をやめることにより、その時間に得られるはずの売り上げや雇用の喪失が問題ではないかということです。筆者はムダな長時間労働や過剰なサービスは必要ないとの立場だが、こうした構造的な問題を考えずに、社会全体で一斉に時間短縮を行うことについては慎重であるべきだと考えている。構造的な問題を解決しないまま、むやみに深夜営業や休日営業をやめてしまうと、経済のパイそのものが縮小し、さらに日本経済が貧しくなるというスパイラルに陥る可能性もあるからだ。
深夜でも買い物をしたい人も働きたい人もいるはずで、それらが失われると「生産性」も下がるし「日本経済そのものの縮小」につながるという懸念です。
これに関しては実際にこれから結論が出てくるでしょう。
安倍政権は女性の勤労参加をさらに呼びかけ、一人当たりの年収が下がりつつも税収が減らない仕組みを構築したいはず。
時短勤務などが可能になれば女性の社会参加のハードルが下がることになるので、政権としても何らかのテコ入れをするのではないでしょうか。
今までがあまりに長時間営業のしすぎで、サービス残業もさせていたのが正常に戻ると考えれば私は日本経済は健康的な方向に向かうのではと思っています。
24時間営業をゼロにするのではなく、より短時間で効率よく儲けることを目指して試行錯誤するタイミングなのではないでしょうか?
【資本主義の終焉と歴史の危機】
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