年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

タグ:利上げ

9/20-21に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)で、アメリカの9月利上げは見送られました。
物価上昇率が穏やかであることや、9月の雇用統計が非農業部門を中心に市場予想を下回ったことなどから、最終的にFRBは慎重になったものと思われます(メンバー間でもハト派とタカ派で意見が割れているようですが・・・)。
しかし、イギリスのEU離脱にともなう世界経済の混乱や新興国の経済不安といったリスク要因は後退しつつあり、年内利上げの基盤は着実に整ってきているとの見方が大勢を占めています。
次回のFOMCは11/1-2に予定されていますが、大統領選直前のためここでの利上げは流石に無いと見られており、12月に利上げが発表されるのではないでしょうか。

一方、日本でも9/20-21に日銀の金融政策決定会合が開かれ、マイナス金利幅(0.1%)の据え置きと国債買入規模の維持などが打ち出されました。
もしもマイナス金利幅が深堀りされていれば収益を圧迫されたであろう銀行株が伸張したようですが、日銀の手詰まり感は否めず、株価も乱高下しています。

日銀

為替への影響として良く言われるのが日米金利差ですが、今回は据え置き。
一般に、アメリカが利上げを行えば当然ながら米ドルが買われるため、円安ドル高になるのですが、果たしてどうでしょう。。。

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12/16 FOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長はついにアメリカの利上げを発表しました!!

今年6月、9月と先送りにされてきたものの、11月の雇用統計で失業率が5%を下回ったことを受け、約10年ぶり米利上げ(金利は0.25~0.5%に=ゼロ金利解除)が実現します。
一方、イエレン議長は、当面の間、利上げは低めに抑え、追加の利上げに慎重な姿勢も見せました。
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ロイター通信は「ドル建て債務を抱えながらも収入は自国通貨建ての新興国企業は苦戦を余儀なくされそうだ」との記事を配信しています。
今後、ドル建て債務の返済に行き詰まり、デフォルト(債務不履行)に陥る国家も増えるのではないでしょうか。
中国はさらなる資金流出の脅威にさらされることになりそうです。
利上げによって世界経済不況が加速すれば、当然それはアメリカにも波及しかねません。

ちなみに先日、某証券会社のセミナーに参加した際、講演会担当の方に実際のところアメリカ経済の先行について尋ねてみたところ、会社としての公式見解は「大丈夫」、投資チームをマネジメントする個人の見解としては「正直、不安」というものでした

経済評論家の三橋貴明氏はブログで、7月のポール・グルーグマン教授の以下の発言を引用しています。「FOMCが利上げを長く待ち過ぎれば、少しばかりのインフレが予想される。一方で、早過ぎる利上げ実施は新たな失われた10年を迎えるリスクを冒す。従って二つのリスクは極端に左右非対称だ。この状況でFOMCが利上げに意欲的なことは極めて不可解だ

現状で景気過熱の状態としてはまだ余裕のある中での早すぎる利上げは、企業の設備投資や個人の消費活動を停滞させ、景気後退に大きく影響するリスクをはらんでいます。

日本への影響として、為替面ではドルが買われて円が売られることにより、1ドル=130円台まで円安が進む見通しがある一方、円高に振れる恐れなど、実際は決して単純ではないとの見方もあるようです。
郵政3企業の同時上場に沸く日本の株価への米利上げの影響について、今回の利上げに関してはすでに市場も織り込み済みだと見る向きも多いようですね。むしろ次の更なる利上げを警戒する投資家は少なくないと思います。
ただ、利上げによって円安になれば日本の輸出企業にはプラスになりますので、全体的には上がるのではとの予測が多く、新興国不安によって下げる時期が出てくるとはいえ、最終的には2万円台を回復し、来年は2万1~2千円台にまで突入するでのは、という期待もあるようです。

いずれにせよ米利上げは2017年4月に消費増税を控える日本経済にも大きな影響を及ぼすはず。
中国、欧州と経済危機をはらんだ世界にあって一人勝ちを続けてきたアメリカ経済の行く末を見守りましょう

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前回お伝えしたとおり、中国株の暴落は各国の株式市場を大いに混乱させ、乱高下を繰り返しながら世界同時株安の展開を見せています。

そんな中、昨年に引き続き一人勝ちを収めつつあるのがアメリカです。9/4発表の雇用統計では失業率が5.1%に低下し、実にリーマンショック前以来の水準にまで回復しました。明日9/16~9/17にかけて行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)という大きなイベントの中で、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを発表するのか否か、世界中の注目が集まっています。
(2015/12/16追記記事⇒ 

とここまで書いておきながら・・・

そもそも「利上げ」って何のためにされるの(´・ω・`)?
アメリカが利上げをすると何がどうなってどういう影響があるの(´・ω・`)?


と、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、気になる「米利上げ」の仕組からその背景と目的を整理してみます
FRB イエレン議長
( ↑ FRB イエレン議長)


中央銀行が「利上げ」を行うと、銀行からお金を借りれば支払う利息は高くなり、逆にお金を預ければ得られる利息も高くなります。
銀行から融資を受けている企業は多いため、規模の大小はあれ返すべき利息が増え、業績に影響することもあるでしょう。

一律で企業の銀行への返済額が上がるということは、株式市場からすれば当然マイナス要因です。
利息が高くなれば、企業が借金をしてまで新たな設備を導入しようとする動きは少なくなり(アベノミクスの重要な指標がこの「設備投資」です)、個人にとっても消費を控えようとする心理が強まるので、経済活動は停滞し、景気が冷え込む恐れがあります。

ちなみに、よく耳にする「ゼロ金利政策」というのは、企業も個人もお金を借りやすくして投資や消費にあてさせ、需要を喚起し、お金の回りをよくして景気を支えようとするものです。
日本ではすでにゼロ金利の状態が長く、もはや利下げを行えない中で、アベノミクス「第一の矢」として量的緩和が行われ、お金をジャブジャブ印刷しては市場に流通する量を増やすことで、上記の利下げと同様の効果を狙っていました。政府がお金を刷りまくって市場に流通する量を増やせば、対外的には貨幣価値は下がるので、「円安」につながります。
今、円安になって観光客が増えているように、諸外国から見ると日本の物品がお得に買えるようになるので、日本の輸出は増え、自動車など大手メーカーが急速に潤いました。

それでは、株価が好調と言われているアメリカは何故、自分でブレーキをかけるようなことをするのでしょうか?


一般に景気が過熱するとバブルを生じ、その崩壊時の反動が大きくなります。
実際、リーマンショック前の活況の中でアメリカの金利は5%ほどでしたが、バブル崩壊に伴う急速な不況を受けて、2008年の12月以来、下限の0.25%一杯にまで引き下げる実質的な「ゼロ金利」状態を長らく続けてきました。
もちろん、自国の通貨の価値を下げるということはその信用を切り崩しているのと同じことでもあるので、過度に行うとコントロールできないくらいに価値が下がってしまい、インフレを招く恐れもあります。
そうしたインフレ圧力を抑えるために、好景気となった時点で、ある程度の調整を行う必要があるのです。

アメリカはすでに量的緩和も落ち着いており、着実に景気回復の歩みを進めてきました。
今年中に利上げを行うとすれば、実に10年ぶりのこと。
上記のように利上げは好況時でないと行えませんので、それくらいアメリカ経済が回復していると同時に、そろそろここらで調整を行って、またリーマンショックのように実体経済とはなれたところでバブルが生成されないようにしようというのが今回の利上げの目的です。

気になる時期について、当初は9月が濃厚と見られていましたが、中国株暴落にともなう世界同時株安を受けて、12月ごろまで先送りされるのではという見方が強まっています。

ではでは、なぜ世界同時株安だとアメリカは思うように利上げができないのしょう?

次回はさらに気になる米利上げの時期と、為替や株への影響について、著名な講師の経済講演会で最新の情報を仕入れつつ、整理してみようと思います。
Coming Soon...

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