年間聴講100件超! 講演会マニアが経済の明日を占うブログ

1年間に100件超もの経済に関する講演を聴講している講演会マニアが、見聞きした講師の話を通じて日本経済の展望を語るブログです。

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ついに! 安倍首相が来年4月に予定されていた消費増税を先送りにし、
「国民の理解と協力を得る」ため衆議院の解散を表明。総選挙が行われます!!


11月17日に発表された7-9月期のGDP速報値が年率換算で「-1.6%」と民間予測を大幅に下回り、またしても厳しい結果となったことを受けての判断ですが、国民の間には早くも不信感が漂っています。

もちろん、今年4月に消費税8%へ増税してからの個人消費が回復しておらず、設備投資も伸びず、為替相場も1ドル=117円台を示すなど今後の景気動向について予断を許さない状況が続いており、増税先送りの判断自体は歓迎されるべきでしょう。
2%をターゲットとしていた物価上昇率は、すでにその倍近くに上っているとの試算もあります
しかし、この消費増税先送りについては民主党をはじめとする野党が一様に容認しており、もはや選挙の争点となるべきものではありません!
民意に反して上空飛行を見せる念のため解散」(自民党・高村副総裁)に700億円もの血税が投入される一方で、民主党政権時代に当時の野田首相と約束したはずの議員定数削減については一向に着手されておらず、国民にばかり「痛み」を求める政治に批判が高まっています。

それでも選挙では低い投票率が予想され、経済界や公明党の組織票を有する与党優位に変わりはなく、野党は共闘体制も整わぬまま政権運営能力の面でも総崩れといった様相です。

このまま自公政権が大勝をおさめた暁には、2017年4月の消費税再増税に景気条項は盛り込まれず、「再延期はしない」と明言されており、ひいてはTPPや集団自衛権関連の重要事案までもが「国民の支持を得た」との解釈により、強行されかねません。

なお、消費増税と併せて法人税減税も議論されていますが、今回の円安で大いに潤った輸出メインの大手企業がさらに優遇され、国内を市場として原料高で大いに負担を強いられた中小企業との格差がますます広がる見通しです
また法人税減税により生まれる余裕も、結局のところ企業は有事に備える内部留保にまわしてしまうため、物価を上回るだけの給与上昇とはならない見込みです。

消費増税に向けて黒田総裁による劇薬「バズーカ2」が打ち上げられた直後だけに、今後の政局と、景気動向にますます目が離せません。
ちなみにネット上では、経済講演会でおなじみの中日新聞論説主幹・長谷川幸洋氏が、11/2時点で「安部政権は年内解散は確実!」と解散総選挙の流れを見抜いていたことが話題になっています

菅官房長官の話しぶりから解散の動きを察知するとは、やはり、プロの眼と耳は鋭いですね。。。
(ちなみに番組の司会は以前に講演会レポートをお届けした辛坊治郎氏です)

皆様も選挙を前に、まずは名だたる講師の経済講演会で最新の"生きた情報”を仕入れてみられてはいかがでしょう?


 【参考】長谷川幸洋氏の講演会情報
長谷川幸洋 講演依頼

<安倍首相>消費税10%先送り方針 17年4月軸に調整

というニュースが飛び込んできました(毎日新聞)。。。
ここ数日、消費税再増税の判断に向けて衆議院解散総選挙の風向きが強くなっていましたが、
GDP速報値の発表を受けて増税を先送りにせざるをえない場合、
国民に真を問うべく解散に踏み切る、というのが与党のシナリオのようです。

経済評論家で講演会でも人気の三橋貴明氏が指摘するように、
「日本経済は消費税10%で完全に終わります」 という見方も強くあったのは事実。
一方で、消費税10%は半ば国際公約のようなものでもあり、
それを反故にすると日本経済への信用が揺らぎかねず、いまだ難しい局面を迎えています。
jp

安倍政権になって、1ドル30円以上(84円⇒115円)も円安になっていますが、
経済評論家の野口悠紀雄氏は、日本は石油をはじめとする資源輸入国である以上、
かつてのように円安による輸出立国化を推し進めても赤字が膨らむだけと警鐘を鳴らしていました。
円安でいくら株価が上がったとしても、家庭消費が冷え切っており、実体経済が全く伴っていない!
と不満を抱える人々も決して少なくないはずです。。。


今回講演会レポートを紹介する三橋貴明氏は、
安倍政権発足時に多くの期待を寄せていました。
「アベノミクスと日本経済復活の経済政策」と題した講演も多く行っており、
著書の中でもアベノミクスを高く評価されてきました。
(講演ではスライドを使用して経済状況を分かりやすく解説していただけます)
しかし、ある時期から少しずつ距離を置くようになってきたようです。
もともとTPPの効果にも懐疑的でありましたが、
特に昨年10月1日に消費税8%への増税を決定した時点で、
その経済政策への疑問が首をもたげてきたとのこと。

その上で、“消費税増税については「最もやってはいけない政策」であり、
まさに「失政」である”
と断じていました。

様々な経済指標が悪化している中で増税をすれば再デフレ化が進みかねないと、
三橋氏は危惧されています。
為替レート上でいくら円安が進んでも、輸出が伸びなければ意味はありません。
リーマンショック後に海外に工場を移した企業も多く、
中国やヨーロッパをはじめ経済が不安定で、そもそも需要がないのです。
かつては円安で輸出が伸びれば賃金も上がっていましたが、
今は原料費等の物価が上がって、実質賃金の低下がどんどん進行しています。


そんな中でも、引くに引けない財務省官僚は政治家を説得して回っているのだとか。
このままでは不況に入って自殺者が増えるのは目に見えているのに、
それを野放しにしているのは与野党含めた政治家の怠慢と糾弾しています。

日銀の黒田総裁が「バズーカ2」を打ち上げ、国際的な注目も高いだけに、
消費増税の行方は果たしてどうなることでしょう。。。
お近くで三橋貴明氏の講演会があれば是非足を運んでみてください

前々回前回と経済の講演会講師としても活躍されている、
島田晴雄氏の著書『盛衰:日本経済再生の要件』をご紹介いたしました。
震災後の2012年に発表された本書は、
アベノミクスの成長戦略を先取りするような提言に溢れています。

(島田晴雄氏がお話になっている様子はコチラ ↓)


なんか凄い迫力ですが、、、
一方で、その著書での主張に疑問がないわけではありません。
なぜASEANプラス6ではなく、TPPなのかという点には触れられていませんし、成長著しいBRICs諸国との関係性も見えてきません。
過度の自由化と市場原理の導入がさらなる格差拡大を招き、貧困層や社会的弱者の生活を損なうのではないかという懸念は絶えずつきまといます
とりわけ、貧困者が十分な治療を受けられないまま病室を後にせざるをえないようなアメリカ型医療の悪評に触れることなく、自由診療の有益性のみを説く一節には、多くの国民が望む生活の在り方からは乖離した上空飛行の感さえ否めません。

しかし、産業構造を改革して成長を生み出すことの重要性に疑いの余地はなく、そして、現政権の推し進めるリフレ政策の成否も、まさにこの点にかかってくるのではないでしょうか。

成長戦略の先行きが不透明になれば、海外投資家は早々に利益を確定させ、次なる市場を模索し始めることでしょう。株価は急落し、景気が途端に冷え込む一方で円安は続き、輸入に頼る食品や石油・ガソリン・ガスといった資源のコスト増加が実質賃金を低下させ、悪性のインフレに転じかねない危険をはらんでいます。
円の信認を切り崩して行う劇薬としてのインフレである以上、国債の価値が暴落すれば銀行の資産を毀損して金利の引き上げに繋がり、ひいては大企業やメガバンクの経営破綻を含めた深刻な経済危機を招きうるものです

これまでご紹介した藻谷浩介氏や島田晴雄氏が説くように、産業構造の改革と有効な財政出動によってまずは需要を拡大しなければ、供給過剰に基づく構造的なデフレ不況からは脱却できません。
円 安による輸出産業伸張への期待から株価上昇と景気浮揚の雰囲気が短期的に醸成されても、実体経済がともなわければ漠たる期待に支えられたバブルでしかな く、その崩壊時にはデフレよりも深刻なスタグフレーション(不況にもかかわらず物価が上昇する状態)が待ち構えており、予断を許さない状況が続いているようです。

などど、今回は講演会マニアなりに経済の明日を占ってみました

今回も前回に引き続き、小泉政権でブレーンを務めた講師・島田晴雄氏をご紹介します。
島田氏が講演会でもお話になる今後の経済政策について、
その核となる著書『盛衰 日本経済再生の要件』での提言は以下の通りです。
盛衰

(1)持続可能な年金制度の確立:生活の安心の第一は年金である。信頼できる年金制度確立の為、保険料、支給開始年齢の段階的引き上げるとともに、給付削減を明示した上で、成長率・人口高齢化率に応じたマクロ調整を実施するべき。

(2)希望格差の解消
:終身雇用システムへの固着や、派遣労働法の改悪(日雇い派遣の禁止等)、年金支給年齢引き上げに備えた高齢者雇用の義務付けという誤った諸政策が、若年者へ雇用が回らない状況を生み出している。また、最低賃金の引き上げは逆に雇用の縮小を招き、雇用調整給付金の支給は終身雇用と年功序列の就業者を保護するにすぎない。企業に依存しない雇用政策によって同一労働・同一賃金の大原則を実現し、解雇法制の整備やキャリア形成の支援によって若者が安心と希望を持てるような、合理的な雇用制度・慣行・政策への転換を図ることが肝要。

(3)エネルギー戦略:震災を機に縮原発を進めるとともに、これまで他国に後れを取ってきた太陽エネルギーを積極的に利用することで、メガソーラーシステムによる太陽経済都市圏を構築するべきである。また、メディアへ影響力を持つ巨大な電力会社が地域を独占することで高コストが維持されたまま競争が排除されている現状を打破し、分散型電力供給体制を構築しなければならない。

(4)国際立国化:中小企業の競争力をいかしたソリューション提供を軸に、対日投資の促進や、TPPへの早期加入、国際人材の練成によって新時代に適した競争力のある国際立国化を推進すべきである。

(5)戦略農業:日本では様々な権益確保のため食糧自給率は意図的に低く算出されており、政府も票田確保のために小規模零細農家を保護して生産性を上げてこなかった。これから戦略的に農業振興を図るには、減反政策を撤廃し、自由化と農地集約をする(零細兼業農家は賃貸収入へ)ことで、生産性向上と効率の高い農家の成長に繋げる必要がある。また、産業農業とその他の農業を峻別した上で、企業の参入を自由化し、さらにTPP参加によって輸出農業への転換を図ることが出来る。

(6)医療の成長産業化:医療の高度化、高齢化、経済成長の鈍化による税収低下と社会保障費の増加というメガトレンドに対し、政府は規制を強化する愚に出ている。また、現状の診療報酬制度は治療の効果とコストについての評価がなされず、質の劣化を招くとともに、過剰診療の問題も生じている。医療の質の向上と産業としての成長の為に、市場機能と民間保険の活用、医療成果重視への誘導、過度の平等主義を見直して自由診療・混合診療制度を導入すること、医療成果情報の開示とIT情報基盤(電子カルテ)整備による効率化を図ることが求められる。

(7)住宅産業の可能性:高度経済成長時代の「スクラップ・アンド・ビルド」に根ざした耐用年数の短さにより、住宅は個人資産となりえず、買い替えも困難で流通しにくい。また、ゼロ成長と人口減少・高齢化というメガトレンドへの変化に産業として対応できていない。住宅ローン負担の過重リスク(変動金利による債務破綻の恐怖)、営業や販促費といった付帯コストが多大な日本型ハウスメーカーの破綻、ゼネコンの縦割り構造にもとづく市場価格の不透明さといった問題点を解消すべく、コンサストラクションマネジメントを推進して流通を促進させ、家賃の所得控除、生前贈与税の税制控除といった補助政策が重要。さらに高層化、地下の活用、エコ住宅、健康住宅化によるリニューアルで、産業として大いに成長しうる。

(8)観光産業の躍進:観光は経済の約一割もの波及効果を持つ。政府も成長戦略の中で、観光を地域活性化の切り札と位置づけているものの、依然として韓国より外国人旅行者数は少ない。情報が増え、所得が増え、趣味や嗜好が多様化するメガトレンドの変容に対し、高度経済成長時代には有効だった団体旅行の観光産業モデルを脱却できていない。他国に比して観光コンテンツの面白さは欠けるものの、日本は自然、文化、料理、サービス、安全という観光資源が充実している。しかし、大手旅行代理店が航空会社・鉄道会社と連携して大量生産を行う「募集型企画旅行商品」が主で、地域から発想した観光商品が出てこない。旅行者を受け入れる地域が自ら商品を設計し、客の趣味嗜好に合わせて対応する「受注型企画旅行商品」への転換を図る必要がある。また、世界中に拠点を設置して日本を売り込み顧客を集めるインバウンド型営業の展開や、競争を推進力に、泊食分離や交泊分離によって客の自由と選択肢を増やす取り組みも有効である。


人口の減少に伴い内需が下振れする中でも、政策的に国民の安心と希望を確保し、健全な競争の中で、景気を牽引しうる諸産業の戦略的な成長と改革を促すこと――。
そのために、政治経済的なマクロ政策と併せて、潜在的な成長産業の可能性を蝕む利権に切り込む構造改革を推進し、肥大化する社会保障費をも吸収しうる成長戦略をいかに描けるかが重要となるのでしょう。


内閣改造後、ウィメノミクス地方創生など様々な政策を打ち出している安倍政権。
今後の動向について島田晴雄氏の講演会から最新の情報を得ることができるかもしれません

慶応大学名誉教授でエコノミストの島田晴雄氏。
前回の記事で講演会レポートをお伝えした伊藤元重氏とも近しく、
小泉政権のブレーンを務め、竹中平蔵氏の師匠筋にも当たる方です。
島田晴雄

島田氏の講演を聞いていると、その提言通りに安倍政権の政策が進められていくのが分かります。
本日はそのエッセンスがまとめられた著書『盛衰 日本経済再生の要件』をご案内いたします!

震災後の2012年(民主党政権時代)に本書を上梓した島田晴雄氏は、
デフレを「経済衰退の病」と形容した上で、その脱却を図るリフレ論者の見解を紹介しています。
すなわち、デフレを貨幣現象と捉え、実態の経済に比べて貨幣供給が不足しているにもかかわらず、日銀が量的緩和に消極的であったことがデフレの長期化を招いたという主張です。

以前ご紹介した『デフレの正体』の著者・藻谷浩介氏によれば、こうしたリフレ政策は消費を増やすには至らず、デフレ脱却に寄与するものではありません。
これを踏まえて島田氏は、デフレの正体を「人口減」とする藻谷氏の論を批判的に継承しつつ、
韓国・台湾・シンガポールなど、日本より人口減少が激しいにもかかわらず、「人口減少を座視することなく投資と消費の需要を刺激する特別な戦略」を駆使することで、デフレに至っていない国々がある
 と指摘します。

韓国はアジア通貨危機に伴うウォン安を機に輸出拡大を成功させ、
台湾は大胆な構造改革によって個人消費や民間投資促進策を採るとともに、中国との連携を強化して輸出と内需を拡大し、
シンガポールは外国人労働力を活用し、積極的に海外からの投資を導入して成長を続けています。

これに対しバブル崩壊後の日本では、「投資需要、消費需要を刺激する戦略、政策が不在」でした。
人口減少にともなう市場縮小の展望の中で国内外からの投資が停滞し、「長期的かつ構造的悲観展望を積極的な展望に変える戦略が不在であったことがデフレを助長した」と島田晴雄氏は結論付けています。

また、その上で島田氏は、日本経済の凋落とデフレ長期化の原因を以下の3点にまとめています。

①供給過多の産業構造が高度経済成長時代から進化しておらず、多くの企業が競合の中で弱体化を余儀なくされ、グローバル化も活用し得えず、デフレを助長している。
②高齢化社会の需要を支える医療、健康、住宅、観光において旧態依然としたサービスの提供が行われており、需要喚起に失敗している。
③医療、農業、教育、政治、行政などのシステムが時代の変化に大きく遅れていることが、日本の衰退傾向を助長した。


主要産業におけるワールド・クラス・カンパニーの乱立に見られるような過大な供給構造は、古いビジネスモデルでの価格競争を招き、デフレを誘発します。
加えて、高度経済成長を支えた日本型のビジネスシステム(垂直統合、自前主義、間接金融に依存した低い自己資本利益率、等)から脱却し得ない多くの企業が、資本調達力で外国企業の後塵を拝し、グローバル化、情報化の進む世界市場で低迷を続け、世界調達、世界ネットワークの面でも後れを取っている点が問題とされています。

さらに、農業では、生産性よりも政治と農協に有利な小規模構造が維持され、「開放経済の最大の障壁」となっています。
医療では、高齢化と財政困難により質とアクセスが劣化しています。
教育では、高度経済成長時代に機能した暗記型規格生産方式の弊害と、学部自治を盾に経営の理論と反して教職員の雇用を維持する教授会の体質、それらが少子化とあいまって質が低下しており、問題発見と解決能力や国際志向が養われない状況です。
政治・行政においても、高度経済成長を支えた官僚システムが、自民党の長期政権下における政官民の利権癒着構造のもとで肥大化・強大化し、やがて閣議の形骸化を招き、大きな政策決定がほとんど行われないほどシステムが劣化しています。

こうした島田氏の論点の根底にあるのは、政治・経済・文化・社会を巡る様々なメガトレンドが変容しているにもかかわらず、行政や企業がそれに適応できず、高度経済成長を支えた旧来型のシステムを維持したまま機能不全に陥っている現状への危機感に他なりません。

そこに新自由主義的な市場原理と競争を導入し、産業の振興と、実情に応じて社会を構成する諸システムの健全化を図るという考えが、その基本姿勢となっているようです。

そこで、日本の再生の為に、島田晴雄氏が渾身の著書『盛衰』に記した改善策とは?
改めて読み返すとアベノミクスの教科書とも言いうる内容だけに、また次回、改めてじっくりとご紹介させていただきます ( *`ω´)b

Back Soon...

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